“情報温暖化”による自民大勝

地球温暖化(Global Warming)はMegastorm(台風やハリケーン)の巨大化を促進し、記録的な集中豪雨、暴風を生み出す一方、大旱魃も同時に頻発させるという。これを社会に応用し、熱量を情報量に置き換えてみれば、“情報温暖化”(Information Warming)という概念を造語できるのではないか。その特徴は情報の集中化、単純化によるInformation Megastormの創出だ。

ITによって、情報量は一昔前よりも情報温暖化が格段に進んでいることは間違いないだろう。情報量(降雨量)が格段に大きくなり、情報スピード(風力)が格段に早くなり、あるトピックはドッグイヤーのように、あっと言う間に盛り上がり、あっと言う間に盛り下がる。
それを見事に体現しているのは株式市場だろう。ネット・トレーダーが好んで取引する新興市場や小型株の市場では毎日、毎週、急騰したり急落したりしている。音楽業界でも誰もが知っている長期投資的流行歌はなくなったのに大多数が知らない短期集中投資的メガヒットは生まれている。今、世の中で何が一番盛り上がっているかを知ろうと思えば、ネット検索ですぐ分かる。すぐ分かるからすぐ飽きられる。
古色蒼然とした公職選挙法があろうがなかろうが関係なく、情報温暖化が選挙にも影響したのは至極当然だろう。Single Issue、One Phrase Politicsはそのような情報温暖化した環境に適応していた。
マクルーハン

メディアはメッセージである

と言ったが、付け加えれば

メッセージはエネルギーである

そもそも先月書いた、IT系企業が発起人に連ねたYES!PROJECTの「日本を変えよう。変えなければ、日本の将来は暗い」というメッセージは、どう見ても自民党に追い風をもたらそうと仕掛けられていたと見ていい。機を見るに敏な小泉自民党がこうした情報環境の変化に気が付かないはずもなく、IT企業に擦り寄ったのは想像に難くなく、ホリエモンを推薦したのはその一端に過ぎない。
今朝のワイドショーで亀井静香氏が「天皇制を否定しているホリエモンをなぜ支持したんだ。お父様が草葉の陰で泣いている」と安倍晋三幹事長代理に問い詰めたが、安倍氏は無言でやり過ごすしかなかった。政の最大の祭りである総選挙の要諦は中身よりも降雨量と風力なのだと、安倍氏は言うべきだった。
今回の民主大敗はIT化に立ち遅れたソ連崩壊に例えられるかもしれない。古めかしい「刺客」と呼ばれた候補は、むしろピンポイントで破壊する「巡航ミサイル」に例えられるべきだった。これは地盤(地上戦)がなくても遠くから撃って相手を撃破できるのだから。
少し横道にそれるが、IT化と言っても、板垣英憲氏のように<とくにパソコンを使い慣れた人々の「0」か「1」かの思考が投票行動に表れ、小泉首相に味方した>と言うのは的外れだろう。PCが2進法でプログラムされているからと言って、パソコンを使い慣れた人々の思考法とは何の関係もない。そもそも人間の思考も究極的には2進法である。あらゆる判断を迫られる場面で最終的には、どんな場面でも二者択一をしている。仮に10の選択肢があっても、ほとんど無意識の内に二者択一を基本にしてeliminateを繰り返し、結局最終場面で二者択一していることにはなんら変わらない。
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