アインシュタインは累進課税を正当化する

年収3億円の人は年収300万円の人より100倍豊かか? 確かに質量のみで限定すればそうだろう。しかし、時間を係数にして、
Affluent=Money×Time
とすれば、そうも言えない。マネー版アインシュタインの相対性原理が働くからだ。
貨幣には基本的に交換機能価値保蔵機能価値尺度機能がある。
しかし、これらの機能も時間に支配されている。
それは、

1.保有高が大きくなればなるほど交換機能が限定され、単位当たりの価値は逓減する。仮に1億円の家を二軒買ったとしても、それに支払う2億円は1億円の家1軒のみ買った場合に支払う1億円よりもその価値はdilute、薄められている。2軒目は1軒目より有り難味が小さいからだ。他の商品についてもこの法則は基本的に変わらない。浪費はこの法則に基づいているから浪費と呼ばれる。

2.人間の寿命が有限である限り、時間とともに貨幣の価値は小さくなる(価値保存機能の逓減)。例えば、寿命が後1日に迫ったとすると、もはや3億円持っている人間と300万どころか3000円しか持っていない人間との間で貨幣価値格差は事実上存在しない。この例えは、見込み寿命が後1年、後10年でも有効だ。
ちなみに、ホリエモンは「金は若いうちは貯めようなどと思わない方がいい。年取って金残しても何もならない」というようなことを発言している。極論ではあるが、流石にマネーの鬼だけに貨幣の何たるかの正鵠を射ている。しかも、彼は時価総額世界一の企業を目指すとも言っているが、このような事実上の無限のマネー拡大に人生目標を設定することによって、(貯めれば貯めるほど単位当たりの価値が逓減するという)マネーの相対性原理のくびきから逃れようとしているのだろう。瞠目すべき挑戦者と見るしかない。彼が宇宙旅行に憧れていることにも一脈通ずるところがある。

3.この結果、貨幣の大量保有は、そのこと自体で貨幣の持つ価値尺度機能を歪めることが分かる。これは重力が時間と空間を歪めるというアインシュタインの相対理論によって導き出された時空間の概念と酷似している。Space is time, Time is spaceである。
同様、Time is moneyというのは単なる諺でなくて、人間の心理を包含した心理物理時空間において真実であり、Money is timeでもあるのだ。

そうすると、累進課税というのは、マネーの相対性原理から見て素晴らしく合理的であることが分かる。
つまり、
納税額30万円/年収300万円>納税額3000万円/年収3億円
の不等記号は決して不当ではなく、これで正当となるのだ。
逓減した貨幣価値を累進課税によって、逓減化を食い止め、税の形で価値の回復を図ることは国全体の貨幣の相対的価値を高めることに貢献する。
昨今話題になりつつあるフラット税なるものは、言わば古典的なニュートン力学的貨幣価値観であり、21世紀の税体系としては余りにも古く、博物館に展示されるべき税と言わざるを得ない。
へえぇ〜ならClick⇒人気blogランキングにほんブログ村 経済ブログへ