大店舗不適応症候群

前回の続編のようなもの 。一昔前のデパートというのは文字通り四角四面に作られていて、初めて入っても分かり易かったように思う。しかし、最近の大型店舗はわざと迷宮のように作られているとしか思えない。
例えば、一昔前のデパートは、エスカレーターにしても二階に上がればすぐ隣に三階へのエスカレーターの上り口があり、それが最上階まで続くという至極真っ当な造りだった。そのうち下り用エスカレーターが登場したが、これも律儀に昇りエスカレーターの正反対の交差する場所に設置されていて極めて分かり易かった。つまり、昇り下りが×字状にになっていて、昇りは<、下りは>という風になっていた。
ところが20年くらい前からだろうか、三階まで上がるのに二階まで来たら、あるべき三階への昇り口がない構造のものがやたら増えてきた。次の昇り口に行くにはフロア逆戻りして反対側まで歩かなければならない。下り用も同じだ。つまり、昇りが彡状、下りがミ状というわけだ。
ここまでならまだ我慢もできるかもしれない。しかし、建物の構造が凝っているためもあってか、途中まで曲がりなりにも同じ位置で昇れても、それ以上は全く別の場所にあるエスカレーターまで乗り継ぎをしなければならないこともある。そのたびにぶら下げられているエスカレーターのアイコンを探すのだが、どうも最短距離というよりもわざと遠回りに誘導しているとしか思えないことが多々ある。
トイレもそうだ。昔は各階同じ位置に男女まとめて設置されていた。ところが、最近は各階てんでバラバラである階は女子のみ、ある階は男子のみ、設置位置も違っていることが多く、辿り着くまでにかなりの時間を要する。
また途中で中二階のようにステップで上がり、今何階?なんてこともあある。
ハコモノだけだはない。商品棚も、商品棚に置いてある商品もほとんど行くたびに変わっていることがあり、「いつものアレどこ行ったのだろう?」とウロウロすることがよくある。
お客には概ね二つのタイプがある。具体的な買う品がなく、何かオモシロそうな物ないかなあ派と、いつも利用し具体的な物を買う目的で訪れる派。ま、大抵は2タイプの混合派なのだが、現代の店舗は前者に親切、後者に不親切に設計しているとしか思えない。ま、これは大型店舗に限らずコンビニでもそうなのだが。
結局、エスカレーターも、トイレも、中二階もどきも、商品棚も、
客の滞在時間をできるだけ長くし、できるだけ歩き回らせてできるだけ多くの商品を見させ、できるだけ多く衝動買いさせる
という戦略に基づいて設計、配置しているとしか思えないのだ。
今は防火設備も昔に比べて整っているようだが、まさか煙が一気に全階に上らないようにエスカレーターを分散しているわけでもないだろう。万が一不測のテロでも起きたらどうなるのだろう。パニックになって意識しなくても出口に一気に辿り着けるように出来ていない。オマケにやっと慣れたと思ったら必ずと言っていいほどリニューアルしてまた一からやり直しだ。
彼らはいつまでもどこまでも客を引きとめようと策略を巡らしている。消費者は神様なんて大いなる錯覚で、所詮消費者は迷路を走らされる心理学実験室のラットなのだ。
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