分割、IPO、決算短信

丸激トーク「ライブドア事件が問う・日本は本当にアメリカ型の市場システムでいいのか?!」を見る。
株式分割新株の印刷時間を考慮して分割割当基準日から約50日経たないと新株が発行されてなかったことについて、神保キャスターは、ライブドアは「わざと印刷を間に合わせないために100分割したのでは、と発言されておられたが、100分割に限らず、10分割以下でも大体50日くらい遅延していた。
今年1月4日から改正され、割当基準日の翌日には新株が発行されたと見なして新株を市場で取引できるようになったが、この見なし取引は株式分割の場合だけで増資による新株には適用されず、従来通り50日遅延のままだ。
だが、見なし規定などなくても、印刷は割当基準日に間に合うはずだ。ライブドアが100分割した時、発行済株式は約100万株だったから新株の発行枚数は一億枚だ。工場の印刷能力は、例えば財務省印刷局が4工場で印刷する紙幣は年間40億枚だ。1工場1日当たり約270万枚という計算になる。表と裏を印刷しなければならない紙幣と違って株券は片面だけだし、印刷も簡単だ。単純に紙幣の2倍印刷できるとすれば1工場1日で約500万枚印刷可能だろう。
分割割当基準日の最低2週間前までに行わなければならない分割の開示後すぐに印刷すれば、印刷工場が土日休日でも2工場で印刷すれば10日で100分割のような極端な場合でも割当基準日に間に合うことになる。
つまり、これまでの遅延は特定の利害関係者のためのヤラセみたいなもので、運用上の技術的根拠などなかったのだ。
IPOだっていかがわしい。ブックビルディング方式で決められる公募価格というのは、機関投資家等からの意見をもとに価格帯を設定し、その価格帯の範囲内で応募投資家からの需要を元に市場動向にあった発行価格を決定(大抵は価格帯の上限値)することになっているが、本当に市場動向に合った価格なら上場した途端、公募価格の数倍で初値が付くことなど本来有り得ないはずだ。既にその株を保有している株主が圧倒的に有利にるように公募価格がお手盛りで設定されている可能性もあるだろう。新規上場株の将来性の期待が集まるからなどという理由付けは建前に過ぎず、銘柄にもよるが全部の新規上場株に将来性があることなど有り得ない。
更にライブドア事件でも容疑に関連した決算短信だが、最近は従来の本決算、中間決算に加え、その間の四半期ごとの業績推移の決算短信まで開示されるようになった。一見情報開示が進んだように見えるが、これがクセモノだ。なぜか発表前に株が急騰し、いざ発表で業績予想が下方修正されて一般投資家が梯子をはずされるようなことが多々散見される。会社はその時の都合で株価を上げたければわざと上方修正したり、下げたければわざと下方修正することだってできる。
業績予想は証券会社の証券アナリストや証券・銀行系経済研究所らが事前に予想してレポートを発表するが、こういうのは一般に新聞記事などでは「市場の予想」と書かれるケースが多い。彼らの所属する会社自体が機関投資家で市場のプレーヤーなのにプレーヤー自体が「市場」という公平性を纏わされて発表されるのだ。株価操作をしようと思えば、わざと決算短信発表前に「粉飾予想レポート」を出しておけば、いざ正式発表の直前に売り抜けられることになる。証券アナリストの予想レポートは公的なものじゃないから粉飾予想したって風評の流布とするのは困難だ。自作自演はライブドアやオウムだけとはとても思えない。
情報開示の美名の下に株価操作する機会がますます増え、株式市場という戦場に地雷がばら撒かれているのと同じようなものだ。
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