温暖化とヒートアイランドを区別出来ない学者

猫研究員の社会観察記:地球温暖化対策:政府の最善は「何もしない」?で紹介されている東京大学生産技術研究所副所長の渡辺正氏の「論点」(読売)を読んでまだこんな人がいるのかと驚いてしまう。
渡辺氏の専門は電気化学だ。専門外のことを書くのならもっと調べて書いたらどうだろう。ネットでも即席で無知なことがすぐ分かる。

しかし過去100年間に大都市はヒートアイランド現象で平均気温は3度上がったものの、実は下がり続けている場所もある。南極圏は50年間ずっと横ばいだ。世界の平均気温は過去30年間で0.5度上がったとされるが、主な原因はヒートアイランド現象だ。

一体何の根拠でそう言っておられるのかわからないが、ヒートアイランド現象の影響が小さいことはWikipediaのUrban heat islandのRelation to global warmingでも基本的なことが紹介されている。

the trends in urban stations for 1951 to 1989 (0.10°C/decade) are not greatly more than those for all land stations (0.09°C/decade).
simlarly the rural trend is 0.70°C/century from 1880 to 1998, which is actually larger than the full station trend (0.65°C/century).(Peterson et al., GRL, 1999)
the differences in trend between rural and all stations are also virtually unaffected by elimination of areas of largest temperature change, like Siberia, because such areas are well represented in both sets of stations.

つまり、都市部の観測地のデータと全体のデータとでは、気温上昇で特に変わりがない。そして、常識的に見ると変に思えるが、rural、田園地帯の方がこの100年間あたりの上昇率が高いのだ。それは、平均気温が著しく上昇している地域がシベリアなど人口希薄地帯だからだ。
これだけで渡辺氏の言う「主な原因はヒートアイランド現象だ」など100%ド素人発言だということが分かる。こんなバカ論文を掲載した読売新聞も同罪だろう。

氷点下の南極大陸で氷が解けるというのは、氷点下になれば水は凍るという自然法則に合わない。」というくだりなどは、拍手喝采ものである。

という猫研究員さんの感想もいただけない。南極は今のところ気温が安定しているようだが、グリーンランドとかロッキーの氷河などはどんどん溶けている。むしろ南極大陸はまだ解け始めない特殊地帯と言うべきだ。溶けなくても氷点下50度の氷と氷点下5度程度の氷とでは質が違う。クラックが起き、崩壊速度は速まっている。

南極で氷は溶けない≠南極の氷は溶けない

なのだ。
へえぇ〜ならClick⇒人気blogランキングブログランキング・にほんブログ村へ