本当は環境に優しくない家電リサイクル法

週末あたりになると「ご不要になった家電製品を無料でお引取りいたします」という小型トラックがよく周回しているのを聞く。よく知らなかったけれど、家電リサイクル法に基づいて家電リサイクル券を購入して回収してもらう有料ルートとは別に産業廃棄物として処分してもらう無料or有料ルートがあって実にややこしい。
その小型トラックのドライバーさんに聞くと、家電でも、海外に中古品として輸出できるものなら、無料で引き取るが、もうどこに出してもどーしよーもない完璧に市場性を失った家電は有料になるという。
更に別のところに聞くと、輸出できるできないはともかく中古市場に出せるのは、無料という。ブラウン管テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機、エアコンに関しては、リサイクルチケットを購入して有料で引き取ってもらうものと思い込んでいた当方が迂闊だった。要するに、
①国内中古市場でリユースできる家電
②国内では市場性がなくても海外の特定国ではリユース製品として市場性がある。
③ハシにもボウにもかからないどうしようもなく廃棄するしかない家電
と、大雑把に3段階にランク分けされているらしい。
で、処分してもらおうと思った映らないテレビはどう考えても③だろうと思い、すごすごと引き下がった。
では家電リサイクル法ルートはどうかと言えば、実は①と②が省かれていて、いったん家電リサイクル券を購入して管理票をペタッと貼られれば、たとえ、ほんの少し修理すれば再利用できるものでも、つい数年前以内に購入した新品に近い現役バリバリの製品でも、事情で買い換えたり処分しようとリサイクル券を購入すれば、一律に分解されて部品・原料がリサイクルされてしまう。つまり、そのまま中古製品として再利用(リユース)するオプションは最初から断たれているのだ。も、もったいない。自分が家電リサイクル券を買わなければならないということと、あたら現役製品がぶっ殺されて分解されてしまうという、両面の意味において、もったいない。
しかも家電リサイクル法の正式名称は「特定家庭機器再商品化法」で、あたかも「再商品化=再利用=リユース」という印象を受けるが、条文を読むと、材料と部品の再商品化ということだ。
家電リサイクル法を管轄する経済産業省によれば、最寄の役所に相談しても家電リサイクル法ルートのみを紹介しているのだという。環境省が管轄する産廃ルートでも、処分する場合は一定の比率で分解リサイクルしなければならないことになっているようだが、家電リサイクル法ルートのように管理票で処理プロセスが追跡できるようになっていないので、実態は事実上暗黒で不明な部分が多いという。
その一方で、産廃ルートでは①と②が無料ということは、何らかの形でリユースされて中古商品として再活用されていることは間違いないだろう。そうでなきゃ無料で引き取るわけない。
いったい、どっちがいいのだろう?
一方はプロセスがはっきりしていることになっているが、リユースはなし。もう一方はプロセスははっきりしないが、リユースもされている。
消費者としては非常に迷ってしまう。
迷った挙句、第3のルート、つまり不法投棄を誘発しかねない。
一番安心できるのは家電リサイクル法システムにリユースできるかどうか審査システムを組み入れて、それを含めて追跡管理できるシステムを導入することだろう。その中には、中古製品販売業者も参加させて。
当然だが、リユースされることになったら、その程度に応じて支払った家電リサイクル券の割引還付、あるいは完全払い戻しもしてもらわんとユーザーとしては協力しようという態度が失せる。
それにだ。この5年で銅などの主要メタルやレアメタルの相場が上昇して、たとえ分解リサイクルに回されても、リサイクルするメリットが高まっているので、家電リサイクル券もそれに応じて値下げしてもらわんと、ますます別のルートの方が繁盛することになりかねない。
むしろ改悪?
もともと家電リサイクル法環境省経済産業省合同で提出した法だ。法施行5年を経過した今、見直し検討も始まったが、どうも薄型テレビを加えるなど小手先だけの見直しのようだ。どころか、リサイクル料金の支払いを廃棄時から購入時へ変更する案など、見方を変えれば、不法投棄を予防するという大義名分の下にリユース・ルートを閉ざし、消費者は新品を買え、中古製品は買うな、と言っているようなものだ。
そもそも分解リサイクル費用は消費者が負担することによってメーカー側は無料で再資源を利用できるうえ、改悪によって、中古市場を壊滅させ、製品使用期間を短くし、新品販売を促進させるというメーカー側には美味しいことずくめ、見掛け倒しの資源浪費ルートになりかねない。
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