「若者のテレビ離れ」に関する二考察

「若者のテレビ離れ」に関する一考察(CNET Japan) by 中島聡
この二つの資料からだけでも、はっきりとした「若い人たちテレビ離れ」のトレンドは見て取れる。つまり、テレビを見たり据え置き型のゲームマシンでゲームをするよりも、mixiで友達とのコミュニケーションを楽しんだり、YouTubeで話題になっているテレビ番組の面白い場面だけをつまみ食いする方がずっと楽しいと感じている人たちが増え続けているのである。
新興勢力ってのはいつの時代でも伸び率が高い訳だが、問題はその後だ。
「二つの資料」とは、
2005年国民生活時間調査報告書(NHK放送文化研究所)(CNETの「性格」は正確じゃない^^)
日中若者のメディア接触実態調査

最初のツッコミは②。
インターネット利用者限定付きなのに、更にその上に、回答者はモニター登録している人で、MDBネットを知って登録していること自体に強烈なバイアスがあり、かなりのヘビーユーザーと想像される。おまけに、
調査エリア:【日本】首都圏・東海・京阪神
つまり、巨大都市圏限定ということだ。こんな限定だらけの調査見せられて、
・インターネットにアクセスする人に限って言えば、すでに「毎日ネットにアクセスする」人たちの方が、「毎日テレビを見る」人たちを上回っている
という結果ににどれほどの意味があるのか。当然の結果であってなんら驚くに値しない。あえて言えば、蛸が自分の足を食う蛸配当のようなもので、予め決定された粉飾決算なのだ。これは安倍晋三氏のネット投票での不人気と相通ずるものがある。ネット調査など所詮こんな程度だ。
次に①。
・10代〜20代という層を見る限り、テレビを見る時間は毎年減少している。平日で2時間強、土日で2時間半強である(資料1)。
大して減っていない(ページ8)。微減だ。この程度のことならビデオが普及した1980年以降でも起きていたことで、「テレビを見たり据え置き型のゲームマシンでゲームをするよりも、mixiで友達とのコミュニケーションを楽しんだり、YouTubeで話題になっているテレビ番組の面白い場面だけをつまみ食いする方がずっと楽しいと感じている人たちが増え続けている」などとは絶対に言えない。大体、調査時点でmixiYouTubeを知っている人なんて稀だろう。今だって浸透度はタカが知れている。そう感じてしまうのはネット漬け生活が著しくバイアスを与えているからだろう。
テレビの視聴時間が国民全体では増えているのは主に高齢世代の増加によるものだが、だからといってネット世代が高齢化する将来、テレビの視聴者が激減するとも考えにくい。ネットはサーチが基本でアクティブ、テレビはチャンネルを選択する以外はパッシブな媒体だ。つまり、前者は視力を含めた体力・根気が要り、体力の低下、好奇心の低下とともに敬遠される確率が高くなると考えられる。
実際にネットはマスメディアの補完物という地位は変わらないだろう。blogosphereで流される情報の大半はマスメディアからの一次情報頼りというのは今後も基本的に変わらない。mixiのライバルはテレビではなく、井戸端会議とか酒場談義、喫茶団欒だろう。
YouTubeに至っては、テレビの産廃リサイクル業であって、本家が倒れれば元も子もなくなる。出発時点で補完物だ。
・国民全体で仕事以外(つまり趣味・娯楽・教養など)の理由でのインターネットにアクセスする人はまだ15%しかいないが、その人たちの平均時間は、平日で1時間30分以上、土日だと2時間以上である(資料1)。
パソコンが普及し始めて20年、ネットが普及し始めて10年余りだが、この数字はむしろ寂しい。同じことをテレビで言えば、テレビ放送が開始された1953年から10年後には白黒テレビ普及率は既に100%近くまで達していた。20年後にはカラーテレビが100%に迫っている。もう比較にならない。格が違いすぎる。普及率が世帯ベースであることを割り引いてもだ。
これに比べれば、ネットは必需品ではなく、依然あれば便利なツールに過ぎない付属物なのだ。灯台下暗しという諺もある。
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