真弓の木@山中湖

mayumi「あ、マユミだ」。山歩きに同行した人が言う。「マユミ」なんて女性の名前かと思って、過去の脳内人名録からすぐヒットしたのは、あの「まゆみさん」だったので、一瞬ときめいたが、指差されたのは、赤い実をたくさん付けた木だった。
全く無知ほど始末におけないものはない。今の今まで知らなかったことの情けなさというのは結構こたえるものがある。本来なら男っぽい名前である筈なのに「真弓」という名前がなぜ女性に多いのか、この年になってやっと解けたのだ。「真由美」も「麻由美」も全部オリジナルはこの木なのだ。
yamanaka山中湖を見下ろす、山梨県静岡県の県境の尾根を縦走していた時だ。ところどころ枯れススキの野に真弓が点綴している。生まれて初めて見るというか、名と姿が一致した真弓の実の赤に華美はなく、慎ましく、枯野に凛として佇んでいる。「まゆみさん」を思い起こすものがあったからではないけれど、この木に一目ぼれしてしまった。

山辺(みやまべ)や 真弓よりこき
色ぞなき 紅葉は秋の ならひなれども」
土御門院(つちみかどいん)

確かにその通りの印象だと合点する。どこにでも植えられているような木だが、せめて出会いの場所がこの地だったのはある意味せめてもの僥倖だ。
ところで、10月も末だというのに、標高1000mを越えるというのに、直射日光を浴びると暑い。落葉樹の半分くらいはもう落葉しているというのに。意地悪なことに急登でハァハァしている時に限ってそうなのだ。それでいてピークに着いた途端、ガスが出て山中湖は霞んでしか見えない。合わせて15kmは歩いたろうか。真弓の木だけが収穫だったような1日。
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