先物現実主義と現物現実主義

貞子ちゃんの連れ連れ日記:外交カードとしての『核保有論』Part1Part2 核保有を前提としない外交カードとしての核保有論など現物市場のない先物市場のような空中楼閣に過ぎない。
貞子ちゃんが引用している財部誠一の核議論カード論などはっきり言ってしまえば噴飯物だ。カードマニア病患者がここにもいた。
「核武装という選択肢を自ら否定する必要はない」と発言しました。
「唯一の被爆国」として「非核三原則」を堅持するのが日本の国是であることはいうまでもありません。また日本国内で、核武装論議が政治的リアリティをもつようになるとは、とうてい思えません。
それでもなお、核武装の議論を展開する必要があるのは、議論自体がきわめて有効な「外交手段」となるからにほかなりません。

財部は最初から、現実に日本が核武装することなど有り得ないことを前提に「議論だけ大いにやりましょう」と言っているのだ。これが、現物市場が存在しないで先物市場を開設しようということだ。財部は本当に経済ジャーナリストなのだろうか。
そんなお遊び議論がカードとして通用すると本気で考えているのだから、本当に寒い。架空市場に外人(米国、中国、ロシア)が投資(一目置く)してくれると本気で考えているのだろうか。架空市場では当然、先物と現物の裁定取引による利益=「外交カードの報酬」など有り得ない。ただ一人相撲が延々と続くだけだ。「アホか、勝手にやってろ」と見くびられるのがオチだ。
核武装有り得ない論はおおむね、
①NPT(核拡散防止条約)を脱退せねばならず、核燃料の輸入が出来なくなり、原子力発電がストップする。
アメリカが日米安保を解消する。
経済制裁され、資源輸入国日本はたちどころに経済が破綻する
というものだ。
これらは三つとも事実に基づかない空想的有り得ない論にすぎない。始末が悪いことに、これが日本では現実主義だと思われている。
まず①はNPTなど脱退する必要などない。なぜかと言えば、アメリカもロシアも中国もイギリスもフランスも脱退していないのだ。つまり核クラブに入れば、脱退する必要などないのだ。そして日本はとっくの昔に入会資格を有している。そのことを日本だけが気付いていないだけだ。
どうやって入会するか? ただ核を製造すればいいだけの話だ。後は事後承諾で入会が承認される。つまりゴリ押しだ。NPTは1963年、国連で採択されたものだ。元は第二次世界大戦の敗戦国であった日本とドイツの核武装を阻止する為に提案されたものだが、それを根拠に制裁されるなどと言う向きは現実の力関係を見ていない。40年以上遅れた化石人間だ。
国連が日本に制裁する度胸があるのか、と言えばない。国連分担金19%を文句一つ言わずに払っているこんな優等生を制裁したら罰が当たる。表向きの非難の一つや二つあっても、本気で非難できる国など存在しない。ちょっとは北朝鮮の図々しさを見習え、というものだ。
よって②も③も有り得ない非現実的な空想に過ぎない。
日本は経済的に皮下脂肪を溜め込んで大きくなっただけで筋肉がないひ弱な肥満児だ。核武装は体格に見合った筋肉を付けるための筋トレでしかない。
肥満児のままでいて欲しいと思っているのは、中国やロシアぐらいなものだ。そのままでいてくれた方がいじめてカネを巻き上げられるからだ。
「日本の核武装はない」というのは「いじめ自殺はない」と言っているどこかの国の教育関係者と同じだ。「核保有議論だけしましょう」というのは、「いじめ自殺はないがいじめ自殺の議論はしてもいい」というのと同じだ。
なぜこんな馬鹿馬鹿しい議論が罷り通るのかと言えば、日本では「空気に基づいた現実主義」が支配し、「事実に基づいた現実主義」が排除されているからだ。前者が先物、後者が現物だ。後者が支配していれば、少なくともノドンミサイル開発が明らかになった1990年代に本気で核議論が巻き起こっていたろうし、先制攻撃可能な航続距離の長い攻撃機や対地ミサイルの導入が現実問題として準備されていたろう。
しかし、「空気」のために何も行われなかった。これが本当の「失われた10年」だ。
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