魔の山
3週末連続丹沢通い。今度は頂上の山小屋に宿泊。お酒が入ると、小屋の宴席はなぜか、環境問題版トーマス・マンの「魔の山」状態となる。ダボス会議ならぬ丹沢会議だ。
小屋の宴席には、60歳後半でヒマラヤの8000m峰に登頂した仙人のような方もおられた。エベレストには、数億円を出して「登らせてもらった」人もいるというが、この方は経費300万円で、つまり「登った」人だ。
とにかくエベレスト級を「登らせてもらう」となると、キッチン専用使用人からポーター、シェルパなどなどン十人を雇い、キャンプ場の設定だけでも大事業だ。酸素ボンベはもちろん、安全にど素人を世界最高峰に登らせるためには、ありとあらゆるハイテク機材が必要となり、自分に降りかかるリスクは最小にし、その分のリスクを他人におっかぶせる分、膨大なコストを支払うことになるという。それでも宇宙旅行代金の数十億円よりは割安だとか。
当ブログでも取り上げた野口健氏も、テレビでは「登山家」と名乗っているが、山岳界では「登山家」と思われていない、という話題も出た。つまり、「登らせてもらう」側の人だというのだ。70歳でエベレスト登頂した三浦雄一郎氏も億単位の経費をかけたが、スポンサーがいて収支は黒字だったとか。
話題は打って変わって、その仙人様曰く「有機物を無機物に分解できるのは、ミミズとバクテリアだけだという。
ツッコミだけが取り柄のような私は「燃やせば有機物を無機物に分解できますよ」とおばかなことを言う。
仙人曰く「経済成長だけ考え、燃やしてばかりいるから、どんどん地球がおかしくなる」
「バクテリアだけが善というのもアレですね」。これは別の方の発言。
「大体、おまいら有機物って何か分かっておるのか? 有機物というのはhydrocarbon(炭化水素)のことなんだぞ」。別の化学系のツッコミ屋さん。
広辞苑によると、【有機物】とは「生物に由来する炭素原子を含む物質の総称」ということになっているが、化学屋さんに言わせれば、「生物由来」ということ自体、偏見の塊だという。物質界を生物、非生物に分けること自体ナンセンスなのだ。というわけで、動物が吐く二酸化炭素は生物由来でも無機物、メタンは有機物ということだ。
「つまり、エントロピーを低くしているのが有機物、二酸化炭素はエントロピーを増大させているのでペケ」と更に別のツッコミ屋さん。
ナルホド。
言いたい放題モードは、小宮山宏東大学長の地球温暖化関連本にまでトバッチリが及ぶ。「あの人、生物が分かっていないので、書いていること滅茶苦茶、君もそう思わんか?」
そう言えば、思い当たるフシがあったので「ああ、そうですね」。
「おう、分かっとるなら、見込みあるぞ」。
「大体、環境省なんて寄り合い所帯で、環境を分かっている人間なんて一人もいない。省の体を成しておらん」。
気がつけば、夜が明けていた。下山はかの仙人様と一緒。急坂を恐るべきスピードで下る。雨模様だったので、雨合羽を着ていたが、あまりのスピードでたちまち暑くなる。「脱ぎましょうよ」という名分でしばし休憩できただけで、一気に下る。尾根でシカ数頭がいたが、仙人様のあまりのスピードに恐れをなしてか、崖を逃げるように下っていった。折角野生ジカに会えたのに勿体無いと言えば勿体無い。2時間半弱でバス停に到着。
「膝が笑っていないんだから、あんたも大したもんだ」とリハビリ中の私を褒めていただいた。
以上は、下山後、あやふやな記憶を辿って書き記したものだ。
下界に戻るとマラソンの高橋尚子さんが久し振りに日本人選手に敗れた。一昨年は異常な高温のレース、今日は雨中のレース。優勝した土佐礼子さんも、優勝タイムとしてはイマイチ。ベストコンディションで戦える機会は意外と少ない。
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