ゴアvsブッシュ@「不都合な真実」

筑紫哲也NEWS23 地球環境スペシャル「地球破壊」〜アメリカ・ゴア前副大統領が筑紫と市民に明かす真実〜 を見る。20日から公開される映画「不都合な真実」の前宣伝も兼ねた市民参加トーク番組だが、内容的には相変わらずという印象が否めない。
番組で筑紫キャスターは「もしフロリダでゴア氏がブッシュ氏に勝って大統領になっていたら、世界は今とは違っていたかもしれない」と言っていたし、ゴア氏も「テロリズムとの戦いよりも 地球温暖化との戦いがより大きな戦いだ」と暗にジョージ・W・ブッシュ大統領を批判するメッセージを開陳していた。
当然、矛先は京都議定書の批准を拒否したアメリカ=ブッシュ大統領に向かった。批准しなかったことに批判する人は、挙手を願いますという放送局側に問いかけにゴア氏も挙手して拍手を受けた。
しかし、ブッシュ大統領は、氏の地球温暖化に関する見解で唯一正しい「不都合な真実」を表明している。(President Bush Discusses Global Climate Change)

The Kyoto Protocol was fatally flawed in fundamental ways.

The world's second-largest emitter of greenhouse gases is China. Yet, China was entirely exempted from the requirements of the Kyoto Protocol.

Yet, India was also exempt from Kyoto. These and other developing countries that are experiencing rapid growth face challenges in reducing their emissions without harming their economies.

Kyoto is, in many ways, unrealistic. Many countries cannot meet their Kyoto targets. The targets themselves were arbitrary and not based upon science.

少なくとも、これらの部分においてブッシュ大統領は全く正しい「不都合な真実」を明らかにしている。
京都議定書がデタラメであることは当ブログでもこっちとかそっちとかあっちとかさらにどっちとかで散々書いて来たので省略するが、「不都合な真実」も二種類あるということだ。
ゴア氏はもう政治への熱は冷め、ホワイトハウスに入る意志はなく、今後もWar against global warmingの伝道師として活躍なさるようだ。しかし、ブッシュ氏が表明した「不都合な真実」をないがしろにしては、結局自己満足で終わる気がする。番組でも一人一人が意識して環境に優しい行動をする省エネに励もう、という15年前の地球サミット以来、お馴染み過ぎて手垢の付き過ぎてしまった常套句で締めくくられた。データや情報は15年間でたっぷりたまったが、さっぱり解決法が進歩していないのも隠しようのない「不都合な真実」だ。
省エネ自体は、いくら「意識の高い」人々が励んでも、ほとんど無意味だ。省エネによって需要が減退した分、化石燃料価格が需給法則で下がり、安くなった分、別の人が利用するという経済の基本原則を考えればすぐに分かることだ。ブッシュ氏の言うように、The issue of climate change respects no borderだからだ。
どちらが地球温暖化を解決するか。(ゴア+ブッシュ)÷2が正解に近いだろう。その現実的打開に限定するならブッシュ的メンタリティは不可欠で、決してブッシュ氏の「不都合な真実」はコケにされてはならないものだ。ゴア氏の言う「政治の問題ではなくモラルの問題」というのは、現実的解決策では間違っている。
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