裁判官はヘタレ判決でも弾劾されない

裁判所は冤罪でも叩かれないはあくまでマスメディアの報道姿勢からの観点で書いたが、公にも裁判官はどんな酷い判決を下しても弾劾されることはない。
裁判官弾劾裁判所では、戦後、7人の裁判官が弾劾され、うち5人が罷免されているが、いずれも判決内容とは無関係だ。しかも罷免された5人のうち、3人は資格回復の裁判によって法曹資格を回復していて実質完全罷免はこの60年でたったの2人だけ。およそ日本(あるいは世界)でもっとも安心できる職業だ。
7人の弾劾訴追理由は、1週間無断欠勤、知人への家宅捜索示唆、略式命令請求事件失効、当事者から酒食の提供、首相への偽電話、 破産管財人からの物品供与、児童買春。判決という本来の職務に直接関係ありそうなのは、略式命令請求事件失効ぐらいだろうか。
判決内容で弾劾された裁判官はゼロだ。なぜかと言えば、そもそも、弾劾理由は「職務上の義務に著しく違反し、または、職務を甚だしく怠ったとき」「裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったとき」に限られている。これだけでも抽象的でワケワカメだが、判決そのものは最初からスルーされているからどうしようもない。つまり、どんな無茶苦茶な判決しても裁判官の地位は絶対安泰なのだ。
弾劾裁判に持ち込むには、「国民審査において、投票者の多数が罷免を可とするとき(最高裁判所裁判官のみ)」もあるが、これを理由に弾劾された裁判官はゼロ。
今回の冤罪では「裁判官は冤罪でも晒されない」(404 Blog Not Found)ということになったが、確かに衆院選挙の時には最高裁限定で裁判官の名前が晒される。しかし、有権者は選挙区代表の衆院議員候補を選ぶ時に事実上どこのだれ兵衛か分からない名前を読まされ、「気に入らなければ×を」と求められる。誰も知らない名前の一覧表を見せられても、それは単なる無意味な文字の羅列に過ぎず、ほとんどの人はアホらしくて何も書かず、たまに暇潰しなげな人が全員×にする程度だろう。よって×されてもけっして罰されることはない。要するに紙とインクの無駄遣いだ。
本気でやるなら国政選挙のたびに最高裁判事を、知事選などの地方選挙のたびに高裁判事、地裁判事を、前回選挙からさかのぼってその判決実績を公示したうえで審査にかけなければならないはずだ。今はインターネットの時代だから、ネットでいつでも見られるように判決文から、その後の経過(冤罪も含めて)晒されるようにできる。もちろん、判決内容を訴訟理由にできるように改正しての話だが。
仮に判決内容が弾劾理由になれば、様々な圧力で裁判所の公正性が損なわれる恐れがあるかもしれない。しかし、同時に様々な圧力で不公正性も保持される恐れもある。判決も判決に晒されなければならない。
60年で7例というのは、弾劾裁判はあってなしが如しだ。
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