宮崎県は藁しべ長者を目指せ

山村出身の知人が故郷に帰ったら、少年時代、貧乏な家の洟垂れ小僧が東京で事業に成功し、儲けた金で一山そっくり買ったという。今の日本の雑木林は荒れ果てて木材源としての価値は無きに等しいため二束三文ぐらいの山林価格なので、一山丸ごと買うのも資産家になった彼には簡単だったという。
当時は、あの山のあそこは○○さんのもの、あそこは△△さんのものと、大抵は山林を所有していたが、「その子の家だけ山を持っていなかったため、少年時代のコンプレックスを晴らしたかったのだろう」「あんな山買って何になるんだろうね」と噂で持ちきりだったという。
しかし、世の中というものは分からないものだ。建築廃木材を原料とする燃料用エタノール製造施設の竣工についてなんてニュースが出た。建築廃材からバイオエタノールが生産できる体制が実現すれば、荒れた山林の木っ端だって、下草だってバイオエタノールに変身することだって夢じゃない。木材としては駄目でもバイオエタノール源としては将来、有望になるかもしれない。
「少年時代のコンプレックスじゃなくて、そこまで見通して買い占めたのかもよ。これが本当の藁しべ長者かもしれないね」というのが私の結論。
ところで、この洟垂れ小僧とよく似たような人がこのほど宮崎県知事に就任した。
宮崎県の都道府県別の1人当たり県民所得は全国43位だ。ところが、森林面積は588943haで、1人当たり0.5haで、高知や岩手、秋田、和歌山などとともに有数の森林県だ。椎葉の照葉樹林は特に有名だ。そして、こうした森林県は申し合わせたように1人当たり県民所得で最下位グループに並んでいる。森林面積の比率が高いほど県民所得も低いのだ。
そのまんま東こと東国原英夫宮崎県知事は、東京で資産家になったかどうか知らないが、情報温暖化時代の今日、知名度というある意味資産以上の資産を得た人だ。金の資産は旧来のしがらみに縛られがちになるが、知名度という資産はしがらみにしばられにくいと思う。それを利用して、宮崎県バイオエタノール林計画でもぶち上げれば、メディアが取り上げてくれて軌道に乗せやすい。うまくいけば、バイオエタノールで宮崎県が藁しべ長者になり、県民所得最下位グループから脱することができるかもしれない。
大企業では、既に海外でトウモロコシやサトウキビ、サツマイモを植えさせてバイオエタノールを供給しようという計画が進んでいるが、これらは食糧とライバルになるし、まかり間違えば森林破壊を促進しかねない。
海外に求めなくとも国内の荒れた山林をバイオエタノール原料採集の場として整備されれば、一石二鳥だ。案外、批判を受けた無駄な過疎地の道路も生かされるかもしれない。
単に官製談合阻止、裏金追放だけでは寂し過ぎる。国木原知事には、地道で前向きな政策を実行してもらいたい。
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