ブラッド・ダイヤモンド

blood diamond0最近、映画館に歩けばアフリカに当たるほど、アフリカが舞台の映画が多い。ジェニファー・コネリーがアフリカ救援活動するオードリー・ヘップバーンの物語を演じている――と幻想してしまうほど、往年のオードリーの生まれ変わりのような気品を湛えた美しさ。
blood diamond1ティーネージャーだった「ラビリンス」の鮮烈な美少女デビューのジェニファー・コネリーが20年の歳月を経て知的で清冽さを残したまま戦争特派員に。「ローマの休日」ではオードリーが男性ジャーナリストに恋する物語だったが、この映画では逆で女性ジャーナリストのジェニファーがレオ様に恋されるのだから時代は変わったものだ。
blood diamond2しかし、見惚れる前に惨たらしいシーンと弾丸が連射される。シェラレオネのダイヤモンド密輸出に絡むドキュメンタリーベースの物語だが、基本構造は同じアフリカを舞台にした「ダーウィンの悪夢」と同じで姉妹編のような趣だ。ナイルパーチがダイヤモンドに置き換えられただけだ。経済的惨たらしさが暴力的惨たらしさに置き換えられただけだ。「ダーウィン」では主役級で登場した旧ソ連製のイリューシン76が、この映画でもチラリと登場するのもなんとなく示唆的なような。
blood diamond3TIA。This is Africa.
繰り返されるこの略語通りの「これがアフリカの現実」。少年が洗脳されて親をも殺すのはカンボジアポルポト派を連想させられる。同じアフリカでも日本人的には最も感覚的に遠い西アフリカなので、現実なのか夢なのか分からなくなってしまう。
blood diamond4しかし、現実に戻ると、ダイヤモンドを盗まれないように子供の手を切るというのは、元々イギリスが国内の製綿業者を植民地時代のインドに進出させるためにインドの綿職工に対して行っていたように、この残虐さもヨーロッパから輸入されたものだ。
相手役(実は主演)のレオナルド・ディカプリオもかなりオッサン度が高くなってきた。「タイタニック」でも死んだが、今度もとうとう死んだ。「とうとう」と言うのは、この映画だけで数回死んでいていいはずのTIA状態を潜り抜けての死なもんだから。ケータイでジェニファーに「やばいんだ」と言いながら逝くというのが現代的奥ゆかしさを感じさせられる。
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