オール・ザ・キングスメンと日米の銃殺事件

kate0「オール・ザ・キングスメン」――「ルイジアナ州知事銃殺される」。長崎市長銃殺事件が起きたばかりでこの映画見ると、タイミングに何か因縁めいたものを感じる。そして、第2のモチーフ、崩れ去って戻らない青春は、なぜかバージニア工科大学無差別事件をも連想してしまう。
1949年制作のリメイクで、政治映画としては原作より抜けが多く、評判が悪いようだが、視点を変えれば、なかなかの青春映画だ。実際、主役はジュード・ロウなのだから。ロウは「華麗なるギャツビー」を演じたロバート・レッドフォードを髣髴させる。kate1ジャーナリストでありながらジャック・バーデン(ジュード・ロウ)は人生に無感動で傍観者、全ては崩れていくと感じるペシミスト。元州知事の兄妹、アダム(マーク・ラッファロ)と愛するアン(ケイト・ウィンスレット)と3人で過ごした夜の海辺が全ての原点だ。
不正入札に怒るウィリー・スターク(ショーン・ペン)にアドバイスし、知事に当選させ、補佐を務めるが、社会正義からではなく、スタークに漂う政治的虚無を嗅いだからだ。2人とも運命のまま成り行きでそうなったという虚無感を漂わせている。ただ、スタークがアダムを病院長にさせる見返りにアンを情婦にしたことをバーデンが知った時を除いて。
kate2政治腐敗、権力闘争がテーマなのだけれど、同時に若く無垢な美しさが現実の前に崩れ去り、現実と自爆してしまう物語でもある。夜の海辺の3人が1役のようにも思える。
夜の海に泳いで行くウィンスレットが追って来るロウに振り向き「愛している」と言うシーンがチラリとフラッシュバックされる。「人生を変える機会は数度しかない。あるいは1度だけかも」という台詞があったが、恐らくこのシーンがそれだろう。
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