ハンニバル・ライジング

hannibal risingリトアニアの小さいながらも瀟洒な城と豪勢な大坂城が結びついてら。もう何年も間に訪れたリトアニアの城は湖上にあって慎ましやかだった。世界的な観客動員を見込むには、かなり出鱈目でもインターカルチュラルなテイストが必要なのかもしれない。
ハンニバルHannibal⇒cannibal(食人)というのはよく知られている。LecterもThe Collectorからの変形だろう。実際、このハンニバル・シリーズは「コレクター」にかなり影響されていると思われる。
そしてRising(誕生)⇒Rising Sun(日本)というのは芸が細かい。紫式部が出ている時点で、おふざけ映画なんだと思うと、ホラーでなくなるよ。
甲冑が神棚になっていて、なんかへんてこりんな新興宗教の祭壇かよ、なんて。猿楽の面が首狩の雁首扱いされているのも痛い。ハンニバル役のキャスパー・ウリエルの不気味な笑顔は能面を思わせる。彼が唯一、能面でない生の表情を見せる「お前も妹の肉を食べたんだよ」と言われた場面が印象的だ。ホント、蒼白かった顔が真っ赤になっている。
レディー・ムラサキの家族も広島の原爆で滅びたというのがなんとも。←こういうのって意外に白ける要素だ。
大体、あだ討ち行脚という発想も日本の時代劇を思わせてホラーとは違う。以前のシリーズとは異質で、レクターがまだある面、初心なソシオパスの頃の物語としては頷けなくもない。
なんで変に日本趣味かと思ったら、リトアニアユダヤ人は日本と縁があり、ナチスからユダヤ人を逃れさせるために大量のビザを発行した杉原千畝さんが領事代理していた国だ。ひょっとすると、原作者トマス・ハリスは杉原をヒントにしてレディー・ムラサキのキャラを構想し、連想に連想を積み重ねたのかもしれない。
それにしてもSAYURIでも、そうだったが、主役級の日本女性役はなぜか中国女優コン・リー。国際的に日本人を演じられる日本人女優はいないということか。古くは島田陽子の例があるが。
どうも今の日本人女優って、日本的文脈でしか演じられないところがある。どんな女優を思い浮かべても、国際舞台でしっくりこないのは、単に英語の問題だけではないのかもしれない。
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