美しい国から美しい星50へ

美しい星温室効果ガス排出量、2050年までに半減させる世界共通の目標設定を提案=安倍首相(ロイター) 安倍首相が提案したのは「美しい星50(Cool Earth 50)」と題したパッケージ。安倍首相が提唱する「21世紀環境立国戦略」の中核にする方針で、1)世界全体の温室効果ガス排出量を削減するための「長期戦略」の提案、2)2013年以降の国際枠組み構築に向けた「3原則」の提唱、3)京都議定書の目標達成に向けた国民運動の展開──の3つの柱から成る。
まさか安倍晋三首相の「美しい国へ」と三島由紀夫の「美しい星」が合体するとは思わなかった。
三島由紀夫の小説の中には人類破滅願望と思われる作品が多々ある。「美しい星」もその一つで、こういう章句もある。

こいつらもみんな床屋の椅子に坐らせて、片っ端から咽喉笛を切ってやるべきなのだ。地上からやかましい歌声がすっかり消え、死んだ惑星のような沈黙が支配するだろう。つまり完全な優雅が。

「こいつら」とは人類のことだ。言っているのは宇宙人だ。今にして思えばディープエコロジー風ではある。
更に地球温暖化による人類破滅を予見したかのような台詞も(笑)

彼は少しずつ、彼の紛う方ない故郷の眺めに近づいていた。ついにそこに到達した。能面の目からのぞかれた世界は、燦然としていた。そこは金星の世界だったのである。

「金星の世界」とは、地球温暖化ポイント・オブ・ノーリターンを通過して高温化した地球のことかとも今にして思えてくる。金星は表面温度摂氏五百度の死の世界だ。
安倍ちゃんがここまで思って「美しい国」から「美しい星」へとグレードアップさせたか定かでないけれど、2050年までに二酸化炭素排出を50%削減となると、これから毎年50年間前年比2%ずつ全世界的に減らしていかなければならない。もう既に2007年なので、2050年までに達成するには、それよりもう少しペースを早めて毎年2%強だろうし、2000年比だろうから、更にきつくなる。

しかし、50%削減というのは大風呂敷のように見えるが、現状で排出二酸化炭素のうち約半分は海や森林が吸収しているので、半減させればバランスが保てるレベルに達するという発想だろうが、これは甘い。自然の吸収力自体が今後減ると見られるので、2050年に半減を達成できても温暖化は更に加速している可能性が高い。
京都議定書には目標があっても罰則がない。世界全体で基準年の1990年比25%以上増えてしまった。世界は減らす気ないことは明らかなので、大カタストロフィーでも起きて懲りない限り、無理だろう。
しかも、途上国からの参加を促すため、日本などが排出削減に熱心な途上国を支援する「資金メカニズム」の構築を目指すことを表明。日本の省エネ技術を広め、途上国が温暖化対策と公害対策を一体で取り組める仕組みづくり(朝日)を促進するそうだから、これもまた実体は、「環境利権(池田信夫blog」ならぬ、地球温暖化をダシにした途上国利権競争の一環だろう。その意味で日本の官僚は皮肉にも健闘していると見るべきかも。
たとえ不十分にせよ、本気でやることを示すには、やはり憂国の士安倍晋三ハイリゲンダム・サミットで主要国メンバーを刀で脅し、割腹自決してもらうぐらいでないとどうにもならないが、これも無理か。
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