グリーンランド氷床は急速に溶けている

bewaad institute@kasumigaseki:武田邦彦先生からのメイルを読んで、武田邦彦氏の説明とは裏腹にグリーンランド氷床が近年急速に溶け始めていることが分かる。
武田氏の説明によると、
|海面水位の上昇率(mm/年)|| 海面水位上昇の要因 1961〜2003 1993〜2003
熱膨張 0.42±0.12 1.6±0.5
氷河と氷帽 0.50±0.18 0.77±0.22
グリーンランド氷床 0.05±0.12 0.21±0.07
南極氷床 0.14±0.41 0.21±0.35

となっている。
グリーンランド氷床は1961〜2003までの年平均は妥当値で0.05mmだ。42年間の累計は2.1mmだ。ところが、1993〜2003の直近10年間の平均は0.21mm。10年の累計は2.1mmなのだ。
1961〜2003の上昇分と1993〜2003の上昇分は同じだ。つまり、グリーンランド氷床に限れば、1993年以前は、実質海面上昇に貢献していなかったが、この直近の10年で急に海面上昇に貢献し始めたということになる。
そうであるなら、この直近の10年の上昇貢献の年平均値は0.21mmだからといって、今後の
30年で6ミリメートル程度です。(武田氏)
なんて暢気な推定できるはずもないだろう。1993年まで0だったものが直近10年平均で0.21mmなら、現在は既に年間0.5mm前後までに増えているかもしれないと推測するのが自然だろう。ましてや今後30年ならもっと大きく見積もらなければならないだろう。仮に今後30年の平均が年1mmとすれば30mmだ。これぐらいが妥当なのではないかと思える。つまり武田氏の推定の5倍だ。
別に海面上昇はグリーンランド氷床だけの問題ではないので、こんな細かく論じてもしょうがないのかもしれないが、恐らく海面上昇の要因は上記の各カテゴリーごとに先行指標的なもの、遅行指標的なものとあることは推定できる。また長期的に安定して海面上昇に貢献してきたものもあれば、ある時点で突然、貢献度が急速に伸びる指標だってあるだろう。地球環境は経済に似て複雑系なのだから。
ところで、余計なことかもしれないが、bewaad氏はこのカテゴリーをscienceに分類されているが、どう見ても今時scienceに分類なさるのは時代遅れだと思う。もっとも適切なカテゴリーはeconomyだろう。このカテゴリーをscienceに分類するのは、石油産業は化学だから、scienceだ、食糧問題は生物学だからscienceだと言われるのと同じくらい違和感がある。
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