映画「魔笛」の日本人墓碑銘の謎

magic flute第一次世界大戦の戦場を蛇のようにうねる塹壕モーツァルトのオリジナル歌劇「魔笛」で王子タミーノを襲う大蛇に擬せられているようだ。当時の毒ガス兵器も毒蛇の形で出て来る。高音で歌う夜の女王の口から吐き出されるように出て来るキャタピラーのお化けのような当時の戦車。映像がマッチしてオリジナルとの違和感がない。
最初は悪玉そうに見えるザラストロが善玉に変わるということはその名に関係ありそう。ザラストロの名は善悪二元論ゾロアスター教の開祖からの借用なのだから。ニーチェの「ツァラトゥストラはこう言った」のツァラトゥストラと同じだ。
一番不思議なシーンは草原の地平線の果てまでも続く墓碑銘に日本人の名が多いこと。二つ三つならまだ納得できるが「山本」「小林」「田中」「伊藤」などなど、どこにでもいそうな、しかも現代風の名前ばかりがかなりの数漢字で刻まれている。更にそろいもそろって享年「十九歳」。舞台はヨーロッパの西部戦線なのだから何とも不思議だ。
日本人以外も確認した限り、「18」とか「19」とかが多かったように思える。
二十歳になる前にみんな死ぬなんて三島由紀夫の「豊饒の海」でもあるまいし。「春の雪」の冒頭には日露戦争の「得利寺附近の戦死者の弔祭」という写真が登場するが、このシーンがなぜかオーバーラップする。三島もニーチェの影響受けていたので、ある意味ケネス・ブラナー監督の三島へのオマージュなのかもしれない。
ストーリーは割と単純だが、きっと何度も見れば様々な仕掛けが見えて来るんだろう。
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