おバカな安倍首相退陣論

安倍晋三首相退陣論の根拠は安倍首相自身が選挙中に言った自分を選ぶのか、小沢さんを選ぶのか」(朝日)だそうだ。マスコミもこぞってこの発言に粘着して「自分で言っておきながらやめないのはおかしい」と鬼の首を取った論調だが、はっきり言って全くのナンセンス。
プロであるはずの政治評論家までが、こんなこと言っているのだから情けなくなる。
これは、選挙戦のさなかにあっての「自民党の政策を選ぶのか、民主党の政策を選ぶのか」を分かり易く言ったレトリックであって、それ以上でも以下でもない。
当たり前のことだが、今回の参院選参議院の半数の改選であって、「どちらを首相に選ぶのか」を争ったのではもちろんない。
もし、安倍さんが本当に「私を首相に選ぶのか、小沢さんを首相に選ぶのか」と言っていたのなら、こりゃ大変なことになる。ま、あの時の必死の安倍さんって論理通り越したことを気付かず言う癖があるのだけれど。
安倍首相は退陣して、他の自民党議員に総裁の座を譲って麻生さんだか福田さんだかに代わってもらうのじゃなく、「どちら」の相手、小沢一郎さんに首相をやってもらいますということになる。
つまり首班指名投票で、与党が3分の2を占める衆議院でも、自民党公明党は敢えて候補者を出さず、小沢さんに投票します、ということを約束したことになる。
そんなバカな話あるわけない。正気の沙汰じゃない。衆参両議院制を否定したことにもなる。
ところがマスコミや政治評論家は、そんな基本的なことを重々承知していながら、この安倍さんの発言を単純な首相退陣論に摩り替えて、「次の首相は誰がふさわしいか」などと言って、麻生だ、安倍だ、いや小泉再登板だのと喧しい。字義通り解釈すれば無条件に次期首相は小沢一郎に決まっているのに。
こういうことを政治評論家までが言い出すということは、政治評論家も世論に迎合しないとマスコミからお呼びがかからないという事情があるんだろう。
実際には、惨敗したからやめるべきだ、との合わせ技であるのだけれど、現実に惨敗した時は首相は退陣している。しかし、今回は過去の例とかなり違う。まず安倍首相の失政によるものではないこと。安倍首相が実は民意によって首相になったことだ。わずか1年前のことを思い出せばすぐ了解できることだが、「誰に次の総理になってほしいか」の世論調査で圧倒的に安倍晋三だった。この民意を受けて自民党安倍晋三を総裁にしたわけで、実は安倍晋三を総理にした任命責任は国民自身にあるのは明白だ。
それを今更民意を無視して退陣させるわけにもいかない。今回は民意が逆に出たから、退陣すべきだという向きもあるかもしれないが、今回の選挙は繰り返しになるが、そもそも「どちらを首相にするか」を決める選挙じゃないので、そういう「民意」は火事場泥棒的でっち上げに近い。
よって、安倍首相続投になんら問題はない。こういう「民意」らしきものを殊更強調する論法は株式市場で例えれば、利益を上げていない企業の株価が株価操作で吊り上って、時価総額が上がったから、利益を上げていても時価総額が結果的に小さくなった企業より優れた企業だと言うのに等しい。全く馬鹿げた論法なのだ。
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