国連、排出権発行審査を厳正化

国連、排出権取得認めず・東電と三井物産のCO2削減事業(日経) 国連が審査を厳しくしているのは、途上国などで温暖化ガスを削減した見返りに排出権を取得できる「クリーン開発メカニズム(CDM)」と呼ぶ事業。実施主体となる企業が国連に申請して承認されると、議定書に基づいて排出権が公式に発行され、企業は政府などに転売できる。国連はこれまでに英国やインドの企業などの46件を却下したが、うち36件が今年に入ってからだ。
国連も、ようやく京都議定書の欺瞞性に気付き始めたのだろうか。
日本は不思議な国で2005年1月から2006年9月までの間に、世界全体の二酸化炭素排出権の30%近くを取得している。これは世界一の取得量だ。
なんでこんな熱心なのかと言えば、国内で排出権市場を開設する準備作業なのだろうけど、とにもかくにも中国とインドの経済市場で地位を占めるのに排出権はタネ銭のようなものなのだろう。燃料効率の良い機械や設備を向こうに持って行く代わりに排出権を買う。
具体的には
中米ホンジュラスで計画していたサトウキビを燃料にした発電事業。
 この事業を通じ、二酸化炭素(CO2)換算で東電は05年からの8年間に約30万トン、三井物産は年間ベースで約7万5000トンの排出権取得をそれぞれ見込んでいた。しかし、国連の審査で両社の計画の温室効果ガス削減量の計算方法が疑問視された模様だ。
(毎日)
サトウキビ発電が二酸化炭素削減になるのなら、それ自体で完結し、「途上国の二酸化炭素を削減」したわけではない。ましてや、他の場所で二酸化炭素排出していい理屈になるわけもない。
けれど、国連も、こうした日本の排出権買い漁りの裏にはかなりいい加減なものもあると感じ始めたことだろうか。大体、効率の良い設備を導入するということが排出削減に直接つながるわけではない。最近、中国が「効率の悪い」発電所を次々と廃棄しているのは、「効率の良い」発電所を新設して、その効率の差額分を排出権として売って儲けるのが意図だろう。
だけど、奇妙な話だ。先進国が何十年もかけて開発した効率の良いシステムと二酸化炭素削減とは直接何の関係もない。なのに、排出権売る国は、「効率が悪い」をデフォルトの権利として認められ、「効率の良いものに変えて欲しけりゃ金払え」だ。
本来なら、効率の良いシステムを開発に要したコストを導入する側が払うべきなのに本末転倒だ。それじゃ先進国は産業革命当時の効率性をデフォルトにして、当時と変わらない効率性で現在の経済水準を維持していた場合と現実の効率性との差額分を排出権として認めていいというのと同じだ。
こんな無茶な話、どっかで歪みができて結局、本来の目標である排出削減はどっかに消えてしまう。
かくして、国外では堂々たるカーボンローンダリングが行われつつあるが、さすがに国連も見て見ぬ振りできなくなってきたということだろうか。
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