ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く(2)

五次元時空リサ・ランドールを読んでいると、一次元である線を切断すると「切断面」は0次元だ。二次元である紙を切断すると切断面は線なので一次元だ。三次元である立方体を切断すると、ようやく文字通りの二次元の切断面が現れる。では四次元の「存在」を切断すると、切断面ならぬ「切断体」が現れる筈だ――ということを思い返した。
切ったら三次元の物体が現れるというのは、どうも時空間の歪みと関係するようにしか見えない。
例えば、紙の上に描かれた◎は円の帯で二次元だが、それにひねりを加えたメビウスの帯は一体何次元なんだろうか。恐らく二次元と三次元の中間、2.5次元あたりじゃないだろうか。紙を切って作った模型としてのメビウスの帯ではなく、もし、このようなものが現実に存在しているとしたら、それは絶えず二次元と三次元の間で振動しているのじゃないだろうか。
同様、クラインの壷。模型は三次元だが、観念上のそれは四次元のような3.5次元のような存在だ。クラインの壷を「たて切りにすると、しなびたチンコみたいなのね」なんてこと言っていた人もいたが、もちろん、そうならないなんらかの立体ではあるけれども。
ここで、思い浮かべるのは、ランドールが重力が他の力に比べてはるかに小さいことに言及していることだ。
重力は異次元と流通しているから我々の次元世界では驚くほど小さいということ。メビウスの帯も、クラインの壷も、異次元を取り込むことによって歪みの循環を作り出す「力」を与えられている。
この我々の宇宙が三次元世界だけで完結しているのなら、もはや何も移動する必要のない静かな、沈黙の、歪みなき完全な世界ではなかろうか。「時」の次元があるから過去があり未来もあるが、時間とは異次元の陰のようなものではないのか。
0次元の点が、過去未来を持って一次元の線になりなり、線が過去未来を持つことで二次元の面となり、面が過去未来を持つことで三次元の立体となり、立体が過去未来を持つことで四次元の何かになる――。
そして、重力は時間を曲げることから、ランドールはこれを手がかりにextra dimensionを探求する。そんな具合に思える。
この宇宙は異次元なしでは存在できないのじゃないか――そんな思いを強くさせてくれる。「ワープする宇宙」とは、そういうことなんだろう。
関連entry:ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く(1)
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