炭素本位制ノート2

世の中で言われている二酸化炭素排出者はなぜか国ばかりが強調される。アメリカが世界の二酸化炭素排出の25%を占めている、二酸化炭素排出が急速に増えている中国に削減義務が課せられないのはおかしいのどうのだ。こういう議論は本質的に無意味で、ことによれば害でさえある。こういう人たちは、その一方でグローバル経済に適応しないとやっていけなくなるだの、フラット化する世界などと言う。大気ほどボーダレスなものないのにだ。
地球上に人為的二酸化炭素排出者というのは、化石燃料採掘業者しかいない。残りは皆その二次的消費者であって、どうでもいいことだ。臭いものは元からじゃないが、一次排出者は化石燃料採掘業者しかいない。アメリカも中国も、GM新日鉄も関係ない。化石燃料採掘業者だけを考えればよい。
では、二酸化炭素吸収者とは誰なのかと言えば、炭素本位制ノート1で述べたNatureしかいない。化石燃料とはNatureが地質学的タイムスパンで死蔵したCという通貨に他ならない。
それにしても、通貨と燃料は本当に良く似ている。燃料を一部燃焼=酸化させてエネルギーを得るように通貨を少し渡してサービスを得る。だとしたら、二酸化炭素とは負の通貨Cということになる。支払ったものは負の通貨Cだ。通貨Cは地下から出て流通し始めた途端に負の通貨になる。Humanの人間通貨Hが正の通貨なのに対し、通貨Cは真逆の性質を持つ。
あなたのポケットにある財布とは携帯燃料貯蔵庫なのだ。時には引火して元も子もなくなる危険性があるの大部分は銀行という燃料タンクに貸しているのだけれど、通貨Cも引火して二酸化炭素=負の通貨Cにならないように地中に埋め込まれていた。ところで、負の通貨Cとは炭素版「借金」の言い換えだ。
Natureの立場からすれば、カウンターパートの化石燃料採掘業者は非Nature的なもののほんの代理業者に過ぎないのでその親玉をHumanとする。つまり、炭素本位制においては、このNatureとHumanという二国しか存在しない。二国だけなのだから、それを国と呼ぼうが会社と呼ぼうが関係ない。便宜上の国だが、いずれにせよ、アメリカとか中国とかは基本的に関係ない。
厳密に言えば、HumanもNatureの一部だが、あえて区別する必要があるのはひとえにHumanが地球史上初めてNatureが延々と溜め込んでいたC通貨=化石燃料を採掘して逆流させることを始めたからだ。言い換えれば中央銀行Nから借金を始めた最初の者ということになる。
借金――。借金は返済しなければならない。しかも金利付きで。貸した国Nature、借りた国Human。このニ国間の貸借取引が炭素為替ということになる。
では、実際の累積債務額と金利はどうなるんだろうか?(To be continued)
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