「朱雀家の滅亡」と「豊饒の海」

朱雀家の滅亡あうるすぽっと柿落とし公演・三島由紀夫原作「朱雀家の滅亡」を鑑賞。佐久間良子中山仁窪塚俊介中嶋しゅう森田彩華。客席には三島由紀夫と親交のあったドイツ文学者のNさんの姿も。客席も舞台も総じて平均年齢高い中で、森田彩華の眩しいくらいの若さ。
中山仁演ずる侍従長って、実質「天皇制」の化身のようなもんで、「何もしない」、優雅な日本の象徴。この手の人って、「春の雪」の綾倉聡子さんのお父様もそうだった。その息子役の窪塚俊介は玉砕必定の南の島に海軍士官として赴く英霊予定者。奔馬」の主人公に似てなくもないけれど、まあいいか。佐久間良子演ずる内縁妻も「春の雪」によく似た人が出ていた。蓼科かな。
朱雀家に嫁いだ娘が新婚後すぐに死ぬのも、「豊饒の海」の輪廻転生の主人公たちが20歳前に死ぬことのヴァリエーションだろう。そして、最後の嫁のはずの、違和感があるほどの若さ森田彩華演ずる許婚が死なないのも「天人五衰」の主人公と同じ。
彼女はまだ19歳だ。洋酒を一気飲みし、ショックで倒れるシーン、スカートの奥まで見えそうな感じで目の前で倒れるので一瞬ドキッとする。
最後に中山仁を難詰する「滅びなさい」と。これはまた「天人五衰」の聡子御門跡とそっくりだ。あの勝気さといい、瓜二つ。
それに対する答えは――。
三島晩年の戯曲で、もう三島の頭の中は「豊饒の海」へと流れていたので、似たような要素がいっぱい凝縮されているのも無理ないことだろう。
会場には三島揮毫の「豊饒の海へ注ぐ」の書が飾られている。これまで未公開だった。他にも「松枝」と「春の雪」と二つの重要な言葉が書かれた学習院高等科一年の頃のメモも展示されている。
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