炭素本位制ノート3

炭素が言わばマイナスの通貨であることは炭素本位制ノート2 で書いた。では、炭素の累積債務額と炭素金利はどうなるんだろうか?
炭素累積債務とは、大気中に滞留した化石燃料起源の二酸化炭素ということになる。これが現在どれくらいあるかというと、色々と計算が面倒だ。
よく見られる世界各国のCO2排出の割合(産業革命以降)は、「先進国の責任」論の根拠の一つになっているようだが、これは何の役にも立たない。炭素本位制ノート1でも記したように「国別責任」など恐ろしく無意味だからだ。アメリカでも貧困層の排出は少ないし、エスキモーなど原住民はもっとはるかに少ないだろう。新興国でも、支配層は先進国の平均以上に排出量が多いだろう。二酸化炭素排出量と資本の移動は相関し、資本は国と関係なくボーダレスに移動する。
ましてや、途上国を助けるために、途上国、森林減少防げば「CO2削減」COP13検討(朝日)など、茶番もいいところだ。巡り巡って排出権獲得で利益を得ようという先進国側の策謀なのだろう。
環境NGOの批判、日本へ集中 ワースト賞「本日の化石賞」総なめ(iza)に至ってはCOP13が言わば2ちゃん的罵倒祭りの側面を併せ持っていることを示している。環境NGOなどというと聞こえはいいが、要するに実体はアホな烏合の衆なのだ。まさに社会保険庁化する京都議定書だ。国別対抗はオリンピックやサッカー・ワールドカップだけで十分で、地球温暖化問題に国別を持ち出すとろくなことにならない好例だろう。
重要なのは、HumanとNatureの二国だけで、Humanがこれまで排出して大気中に滞留している二酸化炭素量だ。大雑把に推定すると炭素換算でほぼ150ギガトン(Gt、ギガトン=10億トン)大気中にはほぼ800ギガトンが二酸化炭素の形で存在するので大体2割が「累積債務」に相当する。
これをH通貨の代表格米ドルに換算すると、炭素為替を元に計算すると、1バレル=100ドルとすると、1バレルに含有する炭素0.1156トン=66ドルなので、炭素1トン=571ドル。
150Gt=85兆6500億ドル
となる。
金利が1%(あくまでとりあえず)としても二酸化炭素排出者が支払わなければならない金利は総額8565億ドルだ。世界で年間7.5Gtほど化石燃料起源の炭素が大気中に排出されているので、炭素1トン当たりの支払い炭素金利は114ドルになる。
言い換えると原油購入者は1バレル=100ドルに加えて炭素為替分66ドルと(114ドル×0.1156=)13ドル分の炭素金利を支払わなければならず、
1バレル=100ドル(正味)+63ドル(炭素為替)+13ドル(炭素金利)=176ドル
になってしまう。
つまり原油1バレル買うと(176−100)=76ドル分、Natureに支払うことになる。
そこで、次は誰が支払いを受け取るかだが、Natureという国に支払われるまで色々と通貨仲介業者がいる。その中にはHumanの仲買人も存在する。(To be continued)
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