炭素本位制ノート5〜炭素金利

炭素本位制ノート4〜森林保有は儲かるまで炭素金利をとりあえず1%としておいたが、実際にはどのように決められるべきだろうか。
一般の金利は、資金の需要と供給のバランスで決まる。需要(借りたい人)が多いときには金利は上がり、少ないときには下がる。
炭素金利の場合、借りたい人はHuman、貸す人Natureなので、需給関係は化石燃料起源炭素排出量とNature側の炭素吸収量で決まる。
一般の金利は経済成長率で決まるが、炭素金利の場合、
(当該年の炭素排出量−当該年の炭素吸収量)÷(前年の炭素排出量−前年の炭素吸収量)
で負の経済成長率とも言うべき数字が出せるだろう。
排出炭素=負のGDPが急成長〜IPCC報告」でも書いたように、化石燃料の炭素排出を負のGDPとするなら、化石燃料の炭素排出を負のGDPとするなら、世界の負の経済成長率は90年代に比べ、2000年以降、12.5%という驚異的成長だ。大雑把に推定すれば年率1.25%の成長率だ。2009年までもっと成長すれば、数字はもっと高くなる。
一方のNatureの炭素吸収力は炭素排出量の成長に比べて相対的に減っていると思われる。勘案すると、とりあえず現在の炭素金利は2%程度と考えるのが妥当なところだろうか。
そうすると、「炭素本位制ノート3」で試みたように、支払い金利は、6877億ドルではなく、
(150Gt=68兆7716億ドル)×2%=1兆3754億ドル
と、倍増する。これが現状のリアルな支払い金利総額ということになる。炭素1トン当たりの支払い金利は183ドルにもなる。そうすると、リアルな負担は、
1バレル=80ドル(正味)+53ドル(炭素為替)+21ドル(炭素金利)=154ドル
になってしまう。
原油1バレル買うと(154−80)=74ドル分、Natureに支払うことになる。
言うまでもないが、炭素金利支払額は、今後も累積債務額が増え続けるので、仮に金利が変わらなくても将来的に増え続けるだろう。もし、こうした市場が開設されれば、先物市場も創設されて、先物相場は現物以上に高くなるのは想像に難くない。実体負経済の指標とも言うべき世界の平均気温は今年も「陸域は過去最高気温」(iza)なのだから、高値更新は必至だろう。
そうなると、市場メカニズム二酸化炭素排出と森林伐採が抑制するように作用する。トレーダーはこの相場で儲けようとするだろうが、その儲けようという欲望が、これまでとは真逆に地球温暖化抑止に貢献するように作用するだろう。
環境問題を倫理で抑制するよりも金儲けという人間の根源的欲望で抑制できれば、最強だ。(Maybe continued)
(その他の関連エントリーリンク)
炭素本位制ノート1
炭素本位制ノート2
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