アイ・アム・レジェンド〜忠犬ハチ公物語

iamlegend0副題の邦題「地球最後の男に希望はあるか。」だけれども、英語の副題は←でかなり違う。「not alone」だから「最後の男」じゃないのだ。しかも、本当は「ニューヨーク最後の男」だろう。看板に偽りあり。茫漠たる寂寥を極める映画と思いきや、それは序盤だけで、騒々しくて白ける。はでなアクション見せればいいというもんじゃない。
ウィル・スミスは狂犬化した人間がいるかどうかブロックごとにチェックしている。けれど、狂犬化したゾンビは移動できるから意味ないだろう。致死率90%のウィルス、残りの10%のうち、狂犬化率99%で、彼らのワクチンの被験体にも使って実験を続けて3年になる。でも、なんで都合よく医学研究者が生き残るのかご都合主義的だ。残りの0.1%が免疫を持って生存するということだが、ニューヨークが1000万人の人口とすると、1万人も生存者がいることになる。「ニューヨーク最後の男」でさえ無理なのだ。アメリカ全土で30万人、世界全体で650万人。1人以外全部ゾンビに食い殺されたというのは無理が有り過ぎる。
第一、ゾンビたちがどうして3年も生き延びているのか分からない。紫外線に弱く、昼間は外に出られないらしい。彼らが生きた人間しか食えないのなら、とっくに餓死しているはずだ。大体、カニバリズムが起きないのも不自然。むしろ、リーダーらしきゾンビまでいて彼らは集団行動すらしている。そんなに頭が働くなら、狩だってするだろうし、缶詰漁りだってするだろう。
こういうアホ臭い設定するから、折角の「最後の男」というテーマが色褪せてしまう。もっとも原作をなぞったものだが。原作は人間と吸血鬼の関係がポジとネガに反転するようなオチが付いている。こちらのオチはちょっと寂しい。同じ「Legend」でも、原作は確かに「I am Legend」だがこの映画は実際には「He is Legend」で、随分違い、こっちの方が数段落ちる。というか自爆が取って付けた風でどうにもならない。
ちなみに原作者のリチャード・マシスンスティーブン・スピルバーグ出世作激突!」の原作者でもある。
最初に癌を100%治せるというウィルスの説明で「人体を高速道路に例えるならウィルスは暴走車、これを警官のパトカーに置き換えたようなもの」という説明があったが、もう少しこのネタを生かせなかったものなのか。取り締まるはずのウィルスがなぜ暴走したのか。バイオホラー仕立てにできていないのが痛い。
iamlegend唯一素直に感動させられるのは、シェパードのサマンサちゃんの忠犬ぶり。ご主人様に抱かれて果てる姿は。・゚・(ノД`)・゚・。 このシェパードがこの映画の悲惨さを救っている。
シェパードに代わって現れる女性もあまりにご都合主義的に唐突だ。なぜ登場したときだけスーパーウーマンのような活躍ができたのか。
その他、封鎖されたはずのニューヨークの港になぜ空母が停泊し、その上になぜ空軍の超音速偵察機SR-71があるのかも分からかったが、現実に存在するイントレピッド海上航空宇宙博物館だった。
もう秋のはずなのに動物園から逃げたとおぼしきライオン親子。もっと温かいフロリダあたりまで移動していていいはずだが、何が悲しくてNYに留まっているのか。
電気は自家発電で説明付くが水道はなぜ出るんだろう? もう少し丁寧に作って欲しい。
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