CO2排出ヨーロッパvs日本

シートン俗物記:ヨーロッパは天国じゃない いや、だから“GDP”を比較しても意味無いから。しかも、比率を測ってもしょうがないって。「温室効果ガス放出」の絶対値が問題なんだから。
これは、 石井孝明の「温暖化とケイザイをめぐって」:ヨーロッパは理想の地なのか? 同じGDPを生産するために、どの程度のCO2を排出するのかを比べてみましょう。日本を1とした場合に、EUは1.7、アメリカは2.1、中国は10.8、ロシアは19.7です(注1)。
に対する反論なのだけれど、では絶対値って何を尺度にすれば迷うところではあるけれど、とりあえず1人当たりの排出量で見てみよう。
個人的には「国別対抗」なんてあまり意味があるとは思えないけれど、以下、List of countries by carbon dioxide emissions per capitaを元に、EU-15とプラス・ノルウェー&アイスランド&スイスで1990年と2004年を比較し、成績の良い順位に並べてみた。(単位:トン)

1.ドイツ12.4⇒9.79(−21.0%)
2.スイス6.3⇒5.47(−13.2%)
3.オランダ9.4⇒8.74(−7.0%)
4.ルクセンブルグ26.3⇒24.9(−5.6%)
5.ベルギー10.1⇒9.7(−4.0%)
6.アイスランド7.9⇒7.6(−3.8%)
7.フランス6.4⇒6.2(−3.1%)
8.イギリス10.0⇒9.79(−2.1%)
9.デンマーク9.7⇒9.80(+1.0%)
10.スウェーデン5.8⇒5.89(+1.6%)
11.イタリア6.9⇒7.69(+11.4%)
12.日本8.7⇒9.84(+13.1%)
13.オーストリア7.5⇒8.5(+13.3%)
14.アイルランド8.7⇒10.4(+19.5%)
15.フィンランド10.3⇒12.6(+22.3%)
16.ギリシャ7.1⇒8.73(+23.0%)
17.ポルトガル4.2⇒5.63(+34.0%)
18.スペイン5.4⇒7.72(+43.0%)
19.ノルウェー7.8⇒19.01(+143.7%)

ドイツがトップなのだけれど、ただドイツには特別な事情があって、エネルギー効率悪かった東ドイツを吸収合併したばかりの1990年との比較では最初から有利な立場にあったという事情がある。旧東ドイツベルリンの壁崩壊直後、政治混乱で経済的にも混乱し、エネルギー消費が激減した。
2位のスイスも世界的大企業があるが、工場はほとんど外国で基本金融国家。
逆にノルウェーは嘘かと思うほど増えている。勉強不足でこれはいまだ謎だ。同国に限らず、イメージとしていいはずの北欧はそんなにいい成績ではない。フィンランドも増えている。よくテレビで優等生的に紹介されるアイスランドも言われているほど減っていない。
もう一つの特徴は、スペイン、ポルトガルが増えていること。これらの国々は、EU-15の中では後発工業化国なので、今になって増えていると思われる。つまり、EU-15の中でも先進国の英仏独などの企業が賃金の安いイベリア圏に工場を移して排出する場所を代えただけと読み取れる。EUの場合、より1990年優遇のある東欧も傘下に収めたからそこに移動された排出量もかなり多いだろう。日本だって、産業部門だけ見た目減っているけれど、東南アジアや中国に排出場所を移動しただけの要素がでかいと思う。
いずれにせよ、欧州18カ国のうち、10カ国は排出増だ。
まあ、繰り返しになるけど、「国別対抗」ってあまり意味ないけれど。COP13でなぜ全世界の国参加ということが提案されなかったのか、およそ察しがつく。全員参加だと排出権取引で儲けにならんということでしょう。
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