三島由紀夫追想のうた

三島由紀夫追想のうた著者の村松英子さんは、ついこの間上演された「薔薇と海賊」の主演を務めた人であり、三島由紀夫が死ぬ直前、上演された同じ「薔薇と海賊」に主演し、見に来た三島を涙にむせばせた人でもある。兄は三島の知己でもある文芸評論家の村松剛
この本を読むと、2人はやっぱり恋人同士だったのじゃないかと思えてくる。少なくとも三島の中には恋心はあったろう。実際、三島は
英子、僕はきみが欲しい。僕のそばにいなさい
と迫ったりもしている。一応、役者として自分で育てたいという意味だけれど、それ以上の意味があったのは歴然だろう。
三島が航空自衛隊のF104に体験搭乗したことは有名だが、その後、三島は村松氏にも勧め、彼女は結果的に三島が死んだ翌月の1970年12月に空から三島を弔うことになる。
英子、元気? 自衛隊の練習機のことだけど、OKがでたからね
これが著者が聞いた三島の最後の言葉だそうだ。電話だった。
これも三島の「計画的犯行」だったのかと思えてくる。
muramatsu&mishima村松氏は楯の会の1周年記念パレードにも花束を持って駆けつけ、その当時の写真も本書に掲載されているが、その時の三島の嬉しそうな顔ったら。
それにしても、1970年の夏、村松氏はタクシーに三島と同乗した時、「先生、死んじゃ厭ですよ」とわざと冗談めかして言ったそうだが、いつもの打てば響く調子と異なり、しばしの沈黙の後に返って来た答えは、
僕が死んだら、英子、怒って僕の首、けとばす? アッハッハ
というのには、しばし唖然とする。真面目に考えていることは冗談を装って伝えるという三島の面目躍如だ。
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