ジェシー・ジェームズの暗殺

jessy james19世紀アメリカの伝説的強盗をブラッド・ピットがプロデュース、主演。ジェシー・ジェームズもロバート・フォード(ケイシー・アフレック)も実在で、当時のテロリストの半生。「地獄への道」などで映画化されているが、リメイクではない。
高揚感と厭世感、名声と嫉妬、猜疑心と追従笑い、高慢と怯えが美しい映像をバックに描かれる。列車強盗の場面、カンザスの草原はジェシーの高揚と鬱屈を表しているようで、一層映える。2時間40分という長さが感じられない濃密さはこのためだろう。
一応、妻子の前で仲間を殺すわけにはいかないと逡巡しているうちに逆に銃殺されたかのように描かれているが、実質自殺のように見える。
油断が許されない状況なのに、ジェシーは無防備にも後ろ向きになり、埃をかぶった額縁の絵のガラスを拭く。そこに映ったピストルを構えて逡巡するロバートの兄。これは最終確認だ。確認した直後、ジェシーの反撃を直感した、ガラスに映っていないロバートに頭をぶち抜かれる。そのことでジェシーは本当は誰が撃ったか確認して果てたはずだ。兄貴は臆病者、弟はやはり度胸があったと。いつもめそめそ声で話すあの臆病そうな、俺に憧れる男が俺をよくぞ撃ったもんだと。
このシーンには前触れがあって、凍てついた草原の張った氷に映った自分の姿にジェシーが銃を撃つシーンがある。もうこの時点で運命を予感していた。
周りからすればジェシーはムカツク奴に違いない。ジェシーの死体は写真撮影され、飛ぶように売れる。ロバートはヒーローになり、自分の殊勲の物語をニューヨークの劇場で自ら演じるが、ここらへん、なんでもワイドショー化してしまう現代と大して変わらない。しかし、最後にロバートに罰が与えられる。彼も暗殺されるが、既に卑怯者扱いされ、もう誰も振り向かない。
最後までジェシーの勝利は揺るがなかった。
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