野口悠紀雄「円安バブル崩壊」

週刊新潮今週号で野口悠紀雄氏が「円安バブル崩壊」という氏らしいネーミングで、今度の「日本売り」を解説している。要するに、異常な円安政策、低金利政策で見せかけの景気回復が起きたが、その不自然な回復のツケがここに来て回って来て、日本はそのツケを何年もかけて払わなければならないということだ。そのツケの一つが今回の株安の日本1人負けということだが、まだもう一つある。
12月消費者物価、0.8%上昇・経財相「消費にマイナス」(日経)
を読むと、ツケが回って来ていることが実感できる。日銀の政策金利は0.5%だから実質マイナス金利ということになる。本来なら、0.75%に引き上げるべき時だ。
それでも大田弘子経済財政担当相は、食料・エネルギーを除いたベースでは前年同月比0.1%の下落でマイナスが続いていることから「デフレ脱却に向けて大きく歩み出したとは言えない」とのことだから、暢気な話だ。やがて食料・エネルギーを除かないベースでも物価上昇は明らかだろう。物価停滞の遠因はデジタル家電の下落だが、これは円安政策の恩恵を受けたハイテク企業が海外での稼ぎが見た目良くなって、国内での価格を下げる余裕が出来た、というか、アジアなどの新興国との競争に晒されての下落だ。いつまでも続くと思うのは甘すぎる。
それなのに、毎度お馴染みの「世界と協調」路線で日銀政策金利をまた下げようという空気が広がっているのだから馬鹿げた話だ。野口氏によると、「1ドル=70円台」でもおかしくないということだから、ますます不自然さが温存され、ツケは更に大きくなる可能性がある。
金利を引き上げれば、円高にぶれるだろうが、これはもう、株価にも影響することはないだろう。なぜなら金利が低いから日本売りが加速していたのだから、むしろ適度な金利上昇は株高にさえなるという異常金利なのだから。そのほか、野口氏も指摘しているように、金利を上げれば、円キャリー取引を利用した投機マネーが縮小し、資源価格も下がる。日本にとってはいい事ずくめ、トリプルメリットなのだ。
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