「第2の打率」はもう古い

NHK:日本とアメリカ第3回 日本野球は“宝の山”〜大リーグ経営革命の秘密〜 ヘッジファンドを経営し、「商品先物取引の天才」でもあるオーナーが導入した科学的な選手獲得術とは。
との触れ込みだったが、一介の野球ヲタのデータ整理法を採用し、選手獲得法を変えたのには笑った。そのヲタより俺のデータ整理法の方が上だ。レッドソクス・オーナーのジョン・W・ヘンリー氏は俺を雇うべきだった。
野球ヲタが開発した「第二の打率」(secondary average)というのは、
(塁打−安打+四球+盗塁−盗塁死)÷打数
ということだった。
現在、レッドソックスの3番を打つデビッド・オルティーズは2001年当時は打率2割3分4厘だったが、四球が多く、第2の打率では3割7分6厘と普通の打率よりはるかに高い、つまりヘッジファンド的には超割安だったということで、2003年にレッドソックスが獲得して主軸のスーパースターになった。
けれど、この第2の打率、まだまだ荒い。
当ブログでは、2006年10月に「メジャー最多安打イチローの打撃価値」で、もっと洗練された指標を開発している。そのダイジェストを再掲すると、

前提として、走者を一つ進塁させる価値を1とする。

●無走者⇒内野安打1=外野単打1<二塁打2<三塁打3<本塁打4
●走者一塁⇒内野安打2<外野単打2.5(走者を三塁に進める可能性0.5とする)<二塁打4.5(走者を本塁に返す可能性0.5=以下同様)<三塁打6<本塁打7
●走者二塁⇒内野安打2<外野単打2.5<二塁打4<三塁打5<本塁打6
●走者三塁⇒内野安打2=外野単打2<二塁打3<三塁打4<本塁打5
●走者一、二塁⇒内野安打3<外野単打4<二塁打6.5<三塁打8<本塁打9
●走者一、三塁⇒内野安打3<外野単打3.5<二塁打5.5<三塁打7<本塁打8
●走者二、三塁⇒内野安打3<外野単打3.5<二塁打5<三塁打6<本塁打7
●満塁⇒内野安打4<外野単打5<二塁打7.5<三塁打9<本塁打10

総計 内野安打20 外野単打24 二塁打38 三塁打48 本塁打51

つまり、安打の種類別価値は20:24:38:48:51なのだ。
塁打数では、まだまだ選手の打撃力を測るのには不十分で、この潜在進塁力の指標からすれば、本塁打は単打の4倍の価値があるとはいえない。しかも、同じ単打でも内野安打と外野安打とでは価値が違うのだ。
この指標を2001年のオルティーズの成績に当てはめると、
総打撃価値=35+17×1.583+1×2+18×2.333=105.9
になる。オルティーズの内野安打は不明なので、全部外野安打として計算。多分、数個はあるだろうが、そう影響はないだろう。これを打数303で割って総打撃価値率を計算すると、3割5分という高い値が出る。これは2006年のイチローの3割6分と遜色がない。しかも、これは四球を除いた数字だ。
四球の価値を同様に換算すると、
1+2+1+1+3+2+1+4=15
で、内野安打の4分の3の価値がある。オルティーズは40四球稼いでいるので、
15÷24×40=25
が加わり、
(105.9+25)÷303=4割3分2厘
というとんでもない数字になる。
四球を加えれば、2001年時点でもイチローを上回っていたことになるのだ。もっとも、イチローの場合、盗塁が多かったので、盗塁を加えれば、そこまで差が付かないだろう。しかし、盗塁は基本的に自分1人が1つ進塁するだけなので、他の要素に比べるとそれほど価値があるわけではない。
2001年のまだ芽が出ないオルティーズ>2006年の押しも押されぬ不動のリードオフマンイチロー
は明らかだ。
どうですか、ヘンリーさん?
ちなみに、番組では、やはり野球ヲタが編み出した投手の指標として、
三振÷四球
が、岡島秀樹投手発掘の手掛かりとなったと紹介されているが、どう見ても、これはリリーフ投手用の指標だろう。ピンチの時に四球を出してピンチを広げず、走者を釘付けにできる三振を取る力がリリーフ投手に求められるのは明らかで、先発型の松坂大輔投手には当て嵌まらない。NHKはそこのところきちんと解説してなかった。
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