日本売りの幻想

Espresso Diary@信州松本:時代の変化に対する鈍感さ。 トヨタは−3.27%、キャノンは−2.37%の下落ですが、不動産や銀行の下げは更に大きい。チャートは、赤い線がトヨタ、青が三菱UFJフィナンシャル、緑が三井不動産の30日の変化。円高が進むと同時に、外需よりも内需の株式が強く売られる傾向が続いていることが分かります。
けれど、もう少し長期に考えると、そうでもない。
トヨタ自動車の2003年4月1日の終値は2700円、昨日の終値は5330円。まだ1.97倍も上げている。2003年4月と言えば、日経平均が8000円以下の最安値になった月だ。同様、キヤノンは3213円、4530円で1.4倍高い。キヤノンなど日経平均よりパフォーマンスが悪い。
一方、内需系は三菱UFJフィナンシャルは同様404円、862円で2.13倍、三井不動産は642円、1921円で今でもなんと2.99倍。実は2003年4月比で考えれば、今でも内需株の方がパフォーマンスはもっといいのだ。
なぜこうなっているのか。これは昨今言われている日本売りとは関係ないと思う。内需系がこれまで上がりすぎていただけなのだ。一方のトヨタキヤノンの国際優良企業は、これまでの円安の割にそれほど上がっていなかった。なぜかと言えば、国際優良企業故に市場参加者もグローバルで、参加者が国際的に多いのでボラティリティが低いということだろう。内需系は国内的には優良企業でも世界の認知度はトヨタキヤノンと比べれば格段に劣るのでボラティリティが高くなり、上下に激しくぶれ易い。特に内需系は利が乗っているので損失の穴埋めに売られやすい。
ところで、外国人の日本売りって本当なのか。
外人持ち株平成18年度株式分布状況調査の調査結果についてに示されているグラフ(6頁)を見ると、18年度の外国人持ち株比率は28%にもなり、10年前に比べて比率は倍増している。この10年いかに外国人が日本株を買いまくっていたかが分かる。今年度は今年1月末現在で7870億円の売り越し。けれど、昨年度末の東証1部の時価総額は548兆円、今年1月末の時価総額は428兆円と120兆円が消えているのを考えると、大して売ってないという印象が強い。株価が下がれば外国人持ち株比率が下がるわけでもない。
このグラフ見ていると、個人投資家の比率は相変わらず増えていない。むしろ、「日本売り」しているのは他ならぬ日本人としか思えない。今や日本市場でのプレイヤーの6割以上が外国人投資家。どうしたら「日本は外国から見放されている」と言えるのか分からない。ちょっと形勢が悪くなると極端に自虐的になる日本人の性向が現れているだけじゃないのか。
それに株安とともに円高が進行しているのでドルベースに換算すれば、日本株はそれほど他国に比べて悪いわけでもない。そうなるのは日銀が政策金利を超低金利にしたままだからどうしてもカネは金利の低い方から高い方へ逃げるからだろう。
仮に金利が今引き上げられ、さらに円高になり1ドル100円以下になったとしても、トヨタキヤノンは一時的にパニック的に売られても、すぐ値を戻すと思う。実際、輸出関連なのに円安時もそれほど上がっていなかったし、円高になって売られると言われながら大して下がってない。国際優良企業だから世界各地に拠点を持っているために為替に左右されにくいのはこれまでのパフォーマンスから見て明らかだ。内需系は円高メリットが見直され、むしろ上がるだろう。
ということは、金利を上げれば、日本株は回復に向かうということだ。
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