EUバブル

小幡績PhDの行動ファイナンス投資日記より。
EUバブル説
EU 加盟国拡大バブル(続)
実は昨日、同じようなことを考えていた。サブプライムローンバブル崩壊の次はEUバブル崩壊だろうと。
当然不動産もバブルで、ロンドンは有名だが、アイルランド、東欧の旧共産党幹部の別荘もバブルだ。(EUバブル説)
昨日、池田信夫さんのパラダイス鎖国で紹介していただいた経済産業省の対内直接投資の促進に関するレポート第4-4-5図 対内直接投資残高対名目GDP比の推移を見てイギリスの伸びがあまりに大きいので咄嗟に感じたのが「EUバブル」だ。ロンドンが不動産バブルであることはテレビでも紹介されていた。超豪華マンションが建てても建てても飛ぶように売れている。買い手は中東オイルマネーとのことだった。対内直接投資と言っても、実体は金余りの中でのマネーの移動で、イギリスにとってあまり良い結果にはつながらないだろうと。大体、日本以上に成熟したイギリスに今更そんなに投資先があるとは思えない。
なぜ加盟国の拡大により、経済発展できるのか。これは、古典的なパターンである、辺境の存在による成長である。理論モデルとしては、日本の高度成長が、農村の存在によりもたらされた、二重構造モデルが参考となろう。近年の中国がまさにそうだったように、今の欧州も同じだ。(EUバブル説)
経済的に所得水準や物価が低い国々を次々にEUに加盟させることで、経済圏および政治圏を拡大し、米国に対する地位を向上させ、内部的には、二重構造を維持することによって、驚異的な成長の継続を実現した。(EU 加盟国拡大バブル(続))
イギリスにも「辺境」ができていて、中東からの移民が入っている。フランスもそうだ。以前、EU拡大による東欧からの出稼ぎがユーロの強さ「新興国を抱え込んだユーロの強さ」について書いたけれど、その強さに向かってマネーの流れが変わらない。今、資源国の景気が良く、中東はじめロシアだって余ったカネを注ぎ込むにはEUが格好のターゲットになっているのだろう。不思議なことに今は金利の高いところがバブルになる。経済のグローバル化で金融引き締めが却って外部からマネーを引き寄せてしまうからだ。これが「金利差の罠」の実態だろう。
とすると、こうした投機マネーがだぶついている間はむしろ、対内直接投資の異常な増加は警戒信号と見るべきなんだろう。日本は比較的まだ少ない分、クラッシュに強い体質になる、と考えたいところだが、元の元をたどれば、日銀の超低金利政策に行き着きそうなので、本当に世界的クラッシュになれば超円高の大波が襲ってきそうだ。やはり、もっと前に政策金利を引き上げておくべきだった。もはや手遅れで想像を絶する巨大なジレンマに陥っている気がする。
ちなみに、本来のEUバブルの意味は、温室効果ガスの削減目標の設定において、EU域内には差別化を認める一方で域外に対しては一律削減を求めたEUのアプローチのことだ。これも、たまたまバブルと名付けられたが、実体的には小幡氏のの言っておられるEU拡大による二重構造化と同じ戦略で、「EUのCO2排出30%削減案の欺瞞」の構造と類同だ。
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