炭素高ドル安

NY原油、一時110ドル台・6日連続で最高値(日経) 外国為替市場でドル売りが優勢だったため、原油相場は次第に持ち直した。心理的な節目である110ドルに近づいたことが、さらに買いを誘った面もあった。
世界の排出量市場、10兆円規模に・2008年、前年比56%増(同) 現在の市場価格で換算した取引総額は630億ユーロ(約10兆円)に上る見込み。今年から京都議定書が定めた削減期間が始まったことで需要が高まっており、欧州中心に金融機関や機関投資家などの参加者が急拡大している。
世界市場の中核となった欧州連合(EU)の排出量取引システム(ETS)は07年実績でみて、取引量で世界の62%、取引額で70%を占めた。EUは企業の排出上限枠を割り当てる「キャップ・アンド・トレード」を導入している。

この二つは、既に連動しているように見える。
二酸化炭素の排出量価格が原油価格に上乗せられ、二酸化炭素の代表的指標であるNY原油が高騰を続けている。つまり、EUが主導している排出量市場が高騰することで、ユーロも高くなる。ユーロと排出量市場が相関するようになって、先高感のある二酸化炭素排出権に支えられてユーロが高止まりしているということか。もはやユーロ高というより炭素高と言った方が分かり易い。炭素がいよいよ通貨としての側面を現実的な影響力として発揮し始めたということだろう。
この5年間のユーロ・ドル相場は、1ユーロ=1.1ドルから1ユーロ=1.5ドル以上になっており、約1.5倍の上昇。
一方でこの5年間の原油価格は1バレル=40ドル弱から110ドルまで約2.7倍に上昇。
言い換えると、ユーロ圏では原油の値上がりは1.8倍程度で済んでいることになる。これはユーロ圏が排出量市場で主導権を握ったために排出権を買う≒ユーロを買うというように、炭素価格が事実上のユーロ・ペッグ制になったということだろうか。とすると、一番二酸化炭素排出量の多い米国のドルが売り叩かれ易い。いくら産油国が為替安定のためにドル・ペッグ制を維持しても、排出炭素自体がドル離れを起こしている。
かといって、これはEUが省エネに努めた報酬ではないだろう。実態は新興国や排出削減義務のない国々を利用して“炭素為替差益”を享受しているだけだ。元々排出権取引自体がインチキな炭素本位制なのだから、こうした見かけの炭素高は実際の排出量削減とは無関係であることは言うまでもない。
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