ノーカントリー

nocountry公式サイト。原題No Country for Old Menコーマック・マッカーシー原作(邦題「血と暴力の国」、ジョエル・コーエンイーサン・コーエン監督、トミー・リー・ジョーンズハビエル・バルデムジョシュ・ブローリン。本年アカデミー作品賞の割にはつまらない。なんか舞台を1980年の西部に変えただけのターミネーター同士の戦いに見えてくる。
“漁夫の利”で大金をせしめたジョシュ・ブローリンが麻薬密売グループに見つかる初っ端のシーンが不自然。なんであんな暗闇で簡単に見つかるのか。しかも、見つかってから走って追いすがるトラックから逃げるが、いつの間にか夜が明けている。オマエ、車相手に一体どれくらい逃げ続けたんだ、やっぱりアンタもターミネーターかと言いたくなる。川を泳いでも追いすがる猟犬をピストルで殺すのはいいけれど、トラックの連中はそのまま放置して諦めるとは思えない。
それから、ハビエル・バルデムの農薬散布機のようなエアガン? 実は家畜殺し用のキャトルガンだそうだが、ドアのカギを壊すのには便利で、どちらかと言えば空き巣向きの武器だろう。あんな重たそうなもの持っていたら機動性に欠けて決闘には不便と思うのだけれど。実際、これで殺すのは人の良い無防備な人ばかり。無機質な殺人が多過ぎて却って退屈する。キャトルガンって、つまりは家畜のように人間を処分するという象徴的な道具なのだ。
異常にこだわりのある哲学の持ち主らしいけれど、よく分からない。コイントスで殺すか殺さないか決めるのも、大して面白くもない。ロシアン・ルーレット劣化コピーにしか見えない。これで神をも超える悪なんて片腹痛い。人相だけがキモイただのイカレポンチじゃないか。これ見よがしのサイコパス見せられてももう食傷している。
大体、2人とも重傷を負ってもなかなかくたばらない点でもターミネーターそっくりだ。
トミー・リー・ジョーンズの老いた保安官。缶コーヒー飲みながら(ウソ)今を嘆くのはいいが、昔からそうだったと怒られる。そもそも、こんな連続殺人事件が起きているのにいたって暢気そう。殺人事件現場の立ち入り禁止区域は24時間警官が見張っているはずなのだが、なぜか現場のホテルの部屋に犯人がいるとか、国境警備員にも緊張感が見られない。アカデミー作品賞の割には随分ぬるいご都合主義。麻薬の顔役も刺客も簡単に殺されすぎ。
抜け目のないバルデム、最後はバックミラーの少年たちの自転車に気を取られて前方不注意で重傷負うというドジこくのだけれど、少年たちにカネ払って現場から立ち去る。これ、根は少年のように純粋な優しさを持ったサイコパスとでも言いたいのだろうか。アメリカの暴力うんぬん以前に基本的にヘタレだ。骨折しながら歩いて去ったが、まさか次回作考えているのかな。
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