接吻

seppun1seppun2公式サイト。万田邦敏監督、小池栄子豊川悦司仲村トオル篠田三郎。見詰め合う2人の熱いラブストーリー――と言っても間違いではないのだけれど、その気になって不用意に観るとショックが大きいかもだ。
2人が見詰める相手は文脈が外されていて報道陣。しかも別の場所での見詰め合いで報道陣が取り持った悲恋の物語。
精確に言うなら、坂口(豊川悦司)は瓶に「この手紙を受け取った方は連絡して下さい」としたためた手紙を詰めて海に流した男。海はマスコミだ。瓶をたまたま拾ったのが京子(小池栄子)だ。坂口は手紙を拾ってもらうために無関係な、たまたまカギが掛かっていなかった閑静な住宅で一家3人を殺害したのかもしれない。死刑志願でありながらも。
実行したテロリストの微笑と潜在的テロリストの微笑返し。瓶の中の手紙の、伝わるか伝わらないか分からない、恐らく限りなくゼロに近い可能性の孤独は2人の孤独と重なる。
瓶の中の手紙は永遠に続くような時間の孤独に耐えなければならないが、この微笑みは確率的な孤独に耐えなければならない。たまたま坂口の微笑を見た京子。毎回の傍聴(こんなセンセーショナルな社会的反響の大きい事件で一般人がいつも傍聴できるなんてことは有り得ないのだけれど)、手紙の交換、合図、接見、婚姻届、そして仕切りなしの接見へ、確率から考えればやっぱり限りなくゼロに近い。
弁護士の長谷川(仲村トオル)は気付いているべきだった。俺だって、その瞬間、ヤバいと思ったんだから。坂口の誕生日にかこつけて京子がプレゼントに用意した細長い箱に入った包の中身を。
タイトルの「接吻」。それは別の形式で行われるのだが、裏切って一審死刑判決控訴を認めた坂口への意趣返しなのか、死刑を介した無理心中未満、相互納得心中以上なのかは実は分からない。その瞬間、坂口は全てを納得したようにも見えるし、その時も何も感じていなかったようにも見える。殺人を犯した時のように再び精神が鈍麻状態化しているようにも見え、トヨエツの無言の演技がなんとも凄まじい。
Clickで救えるblogがある⇒人気blogランキングにほんブログ村 映画ブログへ