竹中平蔵は金利が分かっていない

竹中平蔵教授のオフィスアワー:止まらぬ円高に3つのワケ 日銀は、これまでデフレにもかかわらず金利引き上げを行ってきたし、金利引き下げるに抵抗を感じている。第1の要因との関連で別の言い方をすれば、これまで日本はデフレ下で名目金利を引き上げてきた。この結果、実質金利は相当に上昇した。米国は物価上昇にもかかわらず名目金利を引き下げつつある。つまり、実質金利は相当に低下したのである。金利面からも、大きな円高要因が働いている。
これ、論理が逆さまだろ。
第一、日本が金利を引き上げてきたというのは事実として間違っている。アメリカのFF金利は2004年半ばまで1%の低さだった。当時の日本はまだ量的緩和解除さえしていなかったので比較不能だが金利差は一応1.0%。その後、アメリカは17回も小刻みにFF金利を上げてきて、2006年半ばには5.25%に達した。下げに転じたのは昨年10月からで、現時点で3.0%と急速に下げた。FRBが今度下げると、インフレ率から見て実質ゼロ金利になるだろう。
一方の日銀は、その間、量的緩和解除、政策金利2回上げて0.5%で計3回しか動いていない。こんな程度で「日銀は、これまでデフレにもかかわらず金利引き上げを行ってきた」など片腹痛い。
じゃあ、なぜ低金利のまんまに放置してきたのに、デフレから脱却できていなかったのか。答えは簡単だ。各国との金利差がどんどん開き、金融緩和すれど、ザルに水を注ぐごとくカネは海外に出て行った。金融緩和でデフレを脱却するにはカネが国内に滞留することが条件だ。いくらカネをジャブジャブにしても、国内にはカネが留まらないからデフレ脱却などできるはずもない。実質金利だの名目金利だのはヒト、モノ、カネの流動性が増したグローバル化した経済では大した意味などなくなっている。
実はデフレを脱却するには各国との相対金利を考慮する必要があったわけで、アメリカがどんどん金利を上げてインフレ対策取っている時に拱手傍観して円安バンザイをしていたのだ。これだけの円高でも実効為替レートがいまだ円安なのも依然超低金利状態だからだ。
その間にジャブジャブのジャパンマネーはサブプライムローンを破裂させるまでアメリカの住宅バブルを支えた。日銀がある程度歩調を合わせて利上げしていれば、住宅バブルの芽は早期に摘み取れていたはずだ。アメリカが必死で上げ続けた金利もその効果を上げられなかった遠因は日銀の低金利政策にある。
それをこともあろうに、「金利を上げてきた」とよくしゃあしゃあと言えたものだ。これまでは円キャリー・トレードで原油価格や商品価格が急騰していたが、今度は米国が実質金利ゼロになるとドル・キャリートレードで米国内からカネが逃げ出し、世界はますますジャブジャブの水浸しになりかねず、ますます制御不能状態に陥りそうだ。
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