科学者が一番非科学的な地球温暖化論争

遅ればせながら「諸君!」4月号(今月初め発売)の「CO2・地球温暖化論争に最終決着!」を読んでみる。討論者は櫻井よしこ武田邦彦福岡伸一の3氏。結論を先に言ってしまうと、一番まともで科学的なのは、一番科学に縁遠そうな櫻井氏。残り2人の科学者が一番非科学的だ。
武田氏はニュートン錬金術を信じていた、アインシュタインは温暖化を予言していなかっただの、およそ無関係なこけおどしで「科学が予測するのは不可能」とし、断言できないものは問題でないと言わんばかりの能天気ぶりを如何なく発揮されているのはいつもの芸だ。
ところが生物学者の福岡氏まで生物は機械仕掛けとして完結しているのではなく、ある部品が損なわれても、他の部分がそれを補う動的平衡が生命の本質で、それは環境問題にも共通するという。何が言いたいのかと言えば、環境も自己修復機能が存在する、ということらしい。けれど、人間は首を絞められれば死ぬ、窒息すれば死ぬ、その際は自己修復機能など働かないという単純素朴な事実はそっちのけらしい。
地球温暖化で言えば、別に複雑系なんて複雑な話しなくても、単純明瞭に地表に流通するCO2増加で説明できる。地球環境が複雑系かどうかなど基本的に関係のない話だ。また、CO2が地球温暖化の原因かどうかは実験で証明できないと言われるが、そんなワケない。実験で証明できる。CO2の含んだ空気と含まない空気で太陽照射実験して気温を測ればすぐ分かることだ。
福岡氏は他にも何億年もの間ほぼ一定だったCO2濃度がわずか200年余りで急変した、と言っているがこれも誤り。恐竜が棲んでいた中生代は現在の数倍から10倍くらい濃度が高かった。その後、ずーと、右肩下がりで下がっていて、一定な時期などなかった。生物学者ならこれくらい知っておいてほしいものだ。
もっとも、名誉のために付け加えれば福岡氏の結論は、かなりまともで予測不能なのだから、エコに進むべきとのこと。
いつまでもノーテンキなのは結局武田氏だけのようだが、いいことも言っている。当ブログでも再三取り上げている「京都議定書のトリック」も語られているし、これまた当ブログで取り上げた海面上昇と喧伝されているツバルのサンゴ礁地盤沈下説も取り上げられている。
全般に無用なペダントリーが多い中、櫻井氏が一番ストレートでまともで結果的に科学的なのはどういうワケなのか。科学的というのは科学的知識をひけらかすことではなく、事実に基き合理的に思考することなのだが。
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