人事の完全分離なしに日銀の独立性はない

日銀、白川総裁が就任・景気判断を下方修正(日経) 政府は9日、日銀の第30代総裁に白川方明副総裁(58)を任命した。
これに先立つ金融政策決定会合では、政策金利を据え置くとともに、景気判断を下方修正した。
一方、副総裁候補となった前財務省財務官の渡辺博史一橋大教授(58)には参院が同意しなかった。

同意しなかった方が結果的に良かったと思う。
民主党は当初、財務省出身でも、元事務次官ではなく元財務官なら容認できると言っていた。ここにきて副総裁でさえ元財務官でも駄目というのは、財金分離というよりも、G7間近に控えて総裁さえ決めてやればとりあえず良い、しかし、その後は妥協しないということだろう。
これに関し、池田信夫blog:「失われた10年」の誤った教訓では、
天下りがどうかいうのは、問題の本質とは無関係だ。小沢氏も、それぐらいは知っているはずだ。日銀を政治のおもちゃにするのは、もうやめるべきである。
とされているが、結果的に民主党が徹底的にゴネまくった方が日銀の独立性は保たれると思う。外国はともかく、日本では天下りが問題の本質だからだ。
1998年の日銀法改正までは、日銀は大蔵省の一部であり、その政策の責任は大蔵省にある。(同)
ということだが、別に日銀法が改正されたからと言って、日銀が財務省から独立したわけではない。官僚社会主義は法治ではなく人治のヒエラルキーだから実質今も財務省のコントロール下にあると見ていい。付け加えれば、白川氏と渡辺氏は同年齢だ。同年齢なら、総裁の白川氏より財務省出身の渡辺氏が実質格上になってしまう。そういう世界なのだ。
その傍証として日銀は今もバブル時代と同様のことをし続けている。
同ブログにリンクされた()を拝借すると、日銀は地価が物凄い勢いで高騰していた1987年2月から1989年5月まで2年3ヶ月もの間、公定歩合を2.5%に据え置いたまま放置していた。
同じことを今、日銀はやり続けている。ゼロ金利解除はほんの2年前で、今も政策金利は0.5%。本日も据え置き。円安バブル崩壊が今まさに始まろうとしているのにだ。このままでは同じ轍を踏むだけだろう。
これは、日銀の独立した判断だとは誰も思っていない。福井俊彦前総裁も本音は利上げしたくて仕方なかったのだろうが、国際金融音痴の財務省に遠慮してやりたくてもできなかっただけだ。
だからこそ民主党はたとえ政治をおもちゃにしてでもゴネまくって総裁、副総裁3人とも財務省フリーという歴史的快挙を遂げてもらいたい。外国でも財務省出身が中央銀行の総裁や副総裁になるという向きもあるかもしれないが、日本は外国とは事情が違う。人治官僚制支配が強い日本では外国の例を引き合いに出しても無意味だ。人事で完全に財務省の影響力を排してやっと外国の中央銀行並みの独立性を確保できるのだ。
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