建設業界こそ外資導入を

経産次官「公の秩序維持妨げる恐れ」・Jパワー株買い増し問題(日経) 経済産業省北畑隆生事務次官は7日の記者会見で、英投資ファンドによるJパワー(電源開発)株の買い増しの可否を関税・外国為替等審議会(外為審)に諮る理由について「(株買い増しが)日本の公の秩序の維持を妨げる事態が生じる恐れがある」と述べた。この懸念が解消できなければ、買い増し計画の変更・中止を勧告する考えを強く示唆した。
もはやお馴染みの北畑節。これだけ読むと、日本は外資に対して鎖国しているという印象が強いが、現実には日本の上場企業の外国人株式保有比率は10年前の2倍になっている。ただ産業別に見ると、まだまだ国の保護下にある業界があり、こちらこそ問題にすべきだろう。
東証が公表している投資部門別株式保有金額で見ると、外国人の株式保有比率(金額ベース)は平成18年度末で28%と、この10年間、右肩上がりで伸びている。10年前の2倍以上に保有比率が伸びている。実際、件のJパワー(電源開発)も、今現在で39.9%が外国人株主だ。安全保障・公益性から見て、これ以上となると、経済産業省があわてるのも無理ないだろう。
ただ、いまだ保有比率が低い産業がある。
業種別にみた所有者別単元株式数の中から業種別外国人株式保有比率(株数ベース)をピックアップすると、
全産業25.4(%)
1.製造業29.6
2.金融・保険27.7
3.商業23.5
4.運輸・通信22.7
5.水産・農林21.6
6.不動産21.3
7.電気・ガス15.5
8.サービス15.1
9.建設業13.0
10.鉱業11.2
と、建設業はビリから二番目の低さ。産業規模で見れば、鉱業は小さいので実質最下位だ。財務省護送船団と言われた金融・保険業界も不良債権処理問題の過程で“ハゲタカファンド”の大活躍もあってか、いつのまにか外国人保有比率は2位になっている。同じことが建設業界でも起きる予感がする。
投資部門別にみた業種別株式保有金額を見ると、建設業は上場株式金額では全体の2.1%なのに会社数は5.7%ある。言い換えれば会社数が多過ぎるのだ。建設業界が一番外部の刺激を受けず再編が進んでいないのは明らかだろう。
建設業界は今、道路特定財源一般財源化問題も含めて逆風が吹いているけれど、「建築基準法の改正にともなう過剰規制で住宅着工が減り、GDPが0.6%下がったと推定される」(池田信夫blog:官製不況を生む「合理的バイアス」)のように官製不況説も大きくなっている。
しかし、官製不況というなら、これまでの官製談合による官製好況だってあった筈だ。現実、建設業は一昨年知事が次々と逮捕された官製談合が大きくクローズアップされるまで、美味しい汁を吸っていた。利益率の高い国内の官製談合が剥がれた一方、需要を国外に求めても、競争にさらされる外国での受注は利益率が低い。大体、建築基準法が改正されたのも、利益率低下に伴う手抜きを抑止する意味合いが大きいと思う。例の姉歯事件は氷山の一角だろう。清水建設でさえ手抜きをやっていた。
結局、官製不況にせよ官製談合にせよ、コインの裏表で、どっちにしても官依存体質の業界こそ外資の刺激を受けることが必要だ。これに比べれば、Jパワーや羽田空港の管理会社、ブルドック株などなどは瑣末なことに見える。
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