隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS

lastprincess公式サイト樋口真嗣監督、松本潤長澤まさみ宮川大輔阿部寛椎名桔平甲本雅裕生瀬勝久古田新太上川隆也高嶋政宏國村隼長澤まさみって、どこにいるんだろう、と思ったら雪姫役だった。不覚にも確信できたのは綺麗なおべべ着てからだ。
どう見ても弊衣姿の長澤は長澤に見えず、普通の長澤よりもはるかに可愛く魅力的だ。ラストの武蔵(松本潤)「裏切り御免」の背景にはそういう事情がある。そうとしか思えない。お城にたどりついた途端、雪姫は急速に魅力を失う。NHK大河ドラマ風になってしまっていて武蔵にはもはやどうでもいい存在になっていた。庇護の下に収まった途端、雪姫萌えは終了なのだ。見ていてそれが分かる。そんなもんだろう。
その武蔵(たけぞう)はご存知の通り、剣豪宮本武蔵の若かりし日の名前だ。実はこの物語は、「若き武蔵」の1バージョンであり、戦国時代の架空の三国の設定だが、舞台は中国山地だろう。武蔵の出生地は美作の国(現岡山県)だし、因幡の国(現鳥取県)を治めていたのは実在の山名氏だ。早川とは備後の国(現岡山県)を治めていたの小早川氏のもじりだろう。秋月氏は九州の大名だが、戦国時代一時滅亡した名門ということで、名義を借りてきたのかもしれない。
武蔵は「強過ぎる」六郎太(阿部寛)にこきつかわれながら、六郎太から剣術を我知らず学んでいることが伺える。どころか、山名の大将、鷹山刑部(椎名桔平)からも剣術を盗んでいる気配がある。鷹山はなんと二刀流を披露していたではないか。
また武蔵の相棒、新八(宮川大輔)は宮本武蔵の幼馴染で後に商人になる本位田又八の変形だろう。新八がカネに目ざとく、偽の金が鉛と分かっても「もったいない」と捨てるのを思いとどまるあたりにその片鱗が出ている。要するにこの物語は「それからの武蔵」ならぬ「その前の武蔵」として楽しめる。
以上は出鱈目考証だけれど、多分かぶっているところはあると思う。
ところで、高嶋政宏ってどこにいたんだろう? いや、本当に分からなかったが、なんと関所を守る本庄久之進であった。不覚としか言いようがない。全くそんな風に見えなかった。ライバル(のつもり)の鷹山に不覚にも切り捨てられる役だったとは。正直、弟に比べて存在感薄い。
山城の爆発の原因となる沼気というのは、メタンガスのことで、地下から出て来るのなら普通に天然ガスだろう。建物内なら爆発して被害出そうだけれど、外にいればほとんど大丈夫。てっきり死んだはずの六郎太が元気に砂埃の中から出て来るのはツッコミどころのように見えるが、そうでもない。本当のツッコミは鉛。鉛の融点は327℃なのであんな焚き火に突っ込めば溶けてしまう。それに対し、金の融点は1000℃以上。話が逆だろう。
と、まあ厳密に考えればアレだけれど、庶民の描き方が黒澤明のオリジナルを踏襲していて風景も飽きない。
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