技術移転・エイズ対策が温暖化を促進する

温暖化対策、域内の技術移転促進・アジアの未来(日経) インドネシアのウィトゥラル環境相は「途上国の(温暖化ガス)排出抑制のため、先進国が環境関連技術を積極移転すべきだ」と述べ、早急な取り組みを求めた。韓国の李万儀(イ・マンイ)環境相は「高い技術を持つ日本の役割が問われる」とし、省エネ技術などでの日本の協力に期待を示した。
感染症対策で5.6億ドル拠出、首相が表明(同) 福田康夫首相は23日午前、都内で講演し、2009年以降に感染症対策として当面5億6000万ドルを拠出する方針を明らかにした。主要7カ国(G7)などが出資する「世界エイズ結核マラリア対策基金」(世界基金)への拠出額を上積みし、アフリカなど発展途上国で深刻化するエイズなどの予防や治療の対策などに充てる。
これらに共通するのは途上国投資の促進で、結局、表向きとは逆に地球温暖化を促進することになる。
なぜEUが温暖化に熱心なのか。それは成熟国にとって、自国への投資効率が悪く、新興国の方が投資効率がはるかに良いからだ。これは日本でも同じ。環境技術移転にしても、エイズマラリアなどの感染症対策にしても、言わばひも付き援助と基本的に変わらない。京都議定書のクリーン開発メカニズム(CDM)など良くできた投資促進策だ。
先日20日の「クローズアップ現代」を見ても、森本宜久電気事業連合会副会長と末吉竹二郎国連環境計画特別顧問の対論は、まるで地球温暖化対策というよりも、いかに新興国でのビジネスチャンスをいかすために投資効率をどう高めるかという方法論の議論にしか見えなかった。 一応は日本政府提案の「セクター別アプローチ」推進派の森本氏とEU排出量取引派の末吉氏の対論ということになっているが、結局は、技術移転で儲けるか、排出量取引新興国の投資を促進するか、という話だ。ちなみに末吉氏は元銀行マンで金融のスペシャリストで、自ずと投資促進派になるのはある意味当然か。
こうした「温暖化対策」が却って二酸化炭素排出を促進すると以前に「メルケル提案は温暖化を加速させる」「カーボン・デモクラシーで温暖化防止は無理」などで書いたが、一見、省エネが二酸化炭素削減に見えるから困ったものだ。効率化しても絶対量は増えるから排出抑制は止まらない。それはどんな投資であれ同じだ。2人のあまりの熱い、温暖化対策そこのけの投資論に、実は経済界で本気で二酸化炭素排出削減などという後ろ向きな話など誰も興味などないのだと確信する。
これは感染症対策でも同じで、以前にコペンハーゲン・ナンセンサスで書いたことが、日本でも「バスに乗り遅れるな」ということになったのだろう。こちらは、上述の新興国投資と車の両輪となる資源外交の一環だ。
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