Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼

MrBrook公式サイト。ブルース・A・エヴァンス監督、ケビン・コスナーデミ・ムーア、デイン・クック、ウィリアム・ハート。あらら、ケビン・コスナーウィリアム・ハートの背後霊が取り付いている。怖い怪談話のようだが、実はサイコホラーで、その手のものとしては割とゴチャゴチャして散漫で、大物俳優2人を配しているのに残念感あり。
もう出て来るのは、殺人依存症患者と覗き見症患者だけでお腹一杯だろう。依存症が遺伝するというのは許容範囲だけれど、もう二組には付き合いきれない。ムーアの離婚話も負担かけ過ぎで、無用に絡めすぎている。結果、ムーアの活躍が中途半端に終わってしまい可哀想なほどだ。
「殺す人間を選択するのは恋愛に似ている」。梱包会社社長さんの言うことは分かるし、確かにその通り。殺人依存症も覗き趣味もアレの変奏型だと思うから。社会的地位の高そうな人ほど実はこういうタイプ多そうだ。まあ、それだけ「古い脳」の衝動の方が力有り余っているということだろう。
完璧な殺人者の不覚が同種の覗き魔につかまったというのが味噌。窓を開けっぱなしにしても、覗き魔でなかったら、無事だったろう。どこの世界でも同系列が一番厄介な存在ではある。
ところがこの覗き魔がかなりぬるい人で、どうせ相手は自分を殺すとなぜ思わないのだろう。こういうヘタレが相手じゃ映画自体がぬるくなる。一番光っていたのが背後霊さんじゃ、浮かばれない。テーマがきつい割に「ジキルとハイド」のような緊張感が持てなかった。失敗作。
それにしても、またしても舞台はポートランド。「ブラックサイト」「パラノイドパーク」と、よっぽど危ない人たちが密集しているのかと偏見もたれそう。ある意味、サバービア的雰囲気が充満しているのだろうか。「ミスト」だってポートランド近くだった。「悲しみが乾くまで」はポートランド近くのシアトル。しかも依存症患者のリハビリ集会まで同じように出て来るから困った世界だ。
それはともかく、ワシントン州では、実際にGreen River Killerという確認されただけで48人、自白ベースで71人殺したという連続殺人犯も出ている。この男、殺人の数が自分のキャリアと言っていたが、かなり人物設定が違うものの、この社長さんも同じくらい殺したと言っているので、殺すことの実績の方が表の社会的地位より重要だということはさりげなく暗示されている。「もう少し条件が良ければ会社売ることも考えている」などと娘に語っているのだから。人の生き甲斐というのはどこにあるのか分からない怖さだけは伝わってくる。
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