たばこ1箱1000円になれば自殺者数は更に激増する

自殺者10年連続で3万人超…昨年は過去2番目(産経) 昨年1年間の全国の自殺者数は前年比2.9%増の3万3093人で、10年連続で3万人を超えたことが19日、警察庁のまとめで分かった。過去最悪だった平成15年に次いで2番目の多さだった。総数の約18%に当たる6060人は「鬱病」が原因・動機とみられ、「経済・生活問題」も31.5%に上った。
「たばこ1000円」案(朝日) 依田教授らのこれまでの研究では、1箱千円になった場合に禁煙の意思を示すのは、喫煙者全体の約97%に達する。今回の試算では、禁煙したいと思う人で実際に成功する人の割合が、1箱300円の場合と同じ約54%だと仮定しても、税収の増加は約3兆円にとどまった。一方、禁煙しようとした全員が成功したと仮定すれば、逆に税収は約1・9兆円減るという結果が出た。
この二つのニュースを掛け合わせると自殺者数が更に増える悪寒。
一般に、喫煙者は非喫煙者に比べ、自殺する確率が高く、男性の場合、1日40本吸うグルーブの自殺リスクは、20本未満の1.7倍という研究もあるようだ。
喫煙自体が自殺の原因かどうか不明らしいが、喫煙者の性格的特徴が、自殺と関係しているとも考えられるという。何らかの抑鬱を一時しのぎで解消するには一番手っ取り早いのだろう。ある意味、最後のよすがとも言えなくもない。裏返せば、たばこを吸うから自殺するのではなく、自殺したいような気分だからたばこを吸う人が多いということだろう。
喫煙は以前から「緩慢な自殺」と言われていたが、うろ覚えだが1本吸うたびに統計学的に5分寿命が縮まるという。とすると1日40本1年間吸うと50日寿命が縮まることになる。50年続ければ約7年縮まることになる。
しかし、経済的に禁煙を強いられたら、どういう結果になることやら。「緩慢な自殺」は「急性の自殺」にジャンプする可能性はないのか。
禁煙すれば自殺リスクが減少するとも言われているが、それは意志的禁煙の場合だろう。禁煙する意志があるなら自殺願望だって減るに決まっている。
Blog vs. Media 時評:急浮上! たばこ1箱1000円を実現させよを読むと、1000円になれば9割が禁煙するだろうと発表している京大の依田高典教授の「ニコチン依存度別に見た喫煙・禁煙の行動経済学的研究」や「たばこ1000円の経済学−税収の大幅なぞうかには疑問−」を紹介しておられるが、ここで論じられているのは、価格の禁煙効果と税収効果で、たばこを吸えなくなった人間は蚊帳の外だ。
もし、1000円にでもなれば、一番辛い目に遭うのは経済的弱者だ。彼らが真っ先に喫煙を諦めざるを得ないだろう。そして、警察庁の自殺者数の統計では「経済・生活問題」が動機の主流であり、経済的困窮や社会的閉塞感から鬱に陥って自殺するケースが最も多いと思われる。一番自殺する危険の高い層の喫煙者にとどめを刺すようなたばこ1000円論だ。last resortがlast strawにされてしまいそう。
たばこ吸って50年で7年寿命が縮むかもしれないが、自殺するとその瞬間に寿命はゼロになる。
こう考えると、たばこ1000円論というのは弱者切り捨ての最たるものだろう。経済的弱者は早く死んでもらい、年金給付も少なくて済むし、税収も上げるという一石二鳥の、絵に描いたような近視眼的で酷過ぎる官僚的経済合理主義だ。
1000円論にはヨーロッパの一部で1000円以上という国があるのが根拠らしいけれど、為替レートが異常なだけで、ロンドンの地下鉄初乗りも1000円ぐらいだ。
あまりお金の計算ばかりしていると世の中、ますます殺伐としてくる。最近観た映画「コラソン de メロン」では、井上和香演じるヒロインが全てに無力感に苛まれ定職に就けないヘビースモーカーの同棲男のために街を歩き回ってまだ吸えそうな捨てタバコの吸殻を拾いまくるというシーンがあった。映画のシーンが現実社会でどこででも見られる風景になる日も近いかもしれない。
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