ふるさと炭素税国際版

温室ガス削減、長期目標「共有」で合意 主要排出国 先進国と新興国の双方は「排出量削減の世界全体の長期目標を含む長期的な協力行動のためのビジョンの共有を支持する」としたうえで、「(国連交渉で)長期目標を採択することが望ましいと信じる」とした。
だるい洞爺湖サミットを機に以前書いた「ふるさと炭素税」の国際版を考えてみる。
国内ふるさと炭素税は道路特定財源一般財源化に絡めたものだが、炭素本位制に基づくものとなる。一般に言われている炭素税は排出量取引と実質同じようなもの(参考)なので無視する。
ここでは炭素本位制の炭素為替と炭素金利に基づいて「徴収」することをとりあえず「炭素税」とする。その根本理論は炭素本位制ノート6あたりから。
林保有者は1ヘクタールあたり平均年間547ドル儲けられる。その配分はFAOのデータTABLE2に基づき、森林保有者に配分する。
森林面積のTotal World 3 952 025(1000ha)。Total Africa 635 412なので16%はアフリカの森林に与えられる。以下、Total Asia 571 577⇒全アジア17%、Total Europe 1 001 394欧州25%(もっともその80%はロシア)、Total Latin America and the Caribbean 859 925ラテンアメリカ・カリブ22%(その半分強はブラジル)、Total North America 677 464北米17%、Total Oceania 206 254オセアニア5.2%となる。
以上は森林面積だが、TABLE3(17ページ以降)では、より具体的にCarbon in biomassによる配分法も考えられる。するとかなり配分が違ってくる。
Total World 240 439(百万トン)に対し、Total Africa59 923アフリカ25%、Total Asia32 458全アジア13%、 Total Europe43 614全欧州18%、Total Latin America and the Caribbean77 066ラテンアメリカ・カリブ32%、Total North America18 964北米7.9%、Total Oceania8 414オセアニア3.5%――と、熱帯林の多いアフリカやラテンアメリカのシェアが多くなる。(もっとも、森林の地層に保存されている腐植土が抱える炭素量を入れると寒帯林も有利になり、ロシアやカナダが有利になる)
どの方法を取るかは色々な方法はあるが、炭素為替分は基本的にCarbon in biomass、炭素金利分は腐植土を含めた“Total Carbon in Forest”が一番適当だ。
ここでは森林のみを例に出したが、他にサバンナ、草原、耕作地、果樹園、さらに緑化公園、並木なども炭素蓄積量に応じてランクを下げた形で他炭素為替金と炭素金利の炭素交付金が配分される。
結果、国内的なふるさと炭素税と同様、森林を多く抱えている最貧国などの国々は森林に手をつけないだけでカネが入ってくることになる。
投資マネーは、これまで経済の成長率の高い地域、分野に流れてきたが、このシステムが出来上がると、「何も経済成長が期待されない」森林や、緑化可能な遊休地、未開拓地に投資されることになる。ただ、投資された土地は何もせず、そのまんま放置しておくことで儲かるが、より高い収益性を求めて植林されることになる。植林がビジネスとして成立するインフラが整ったわけで世界の森林面積は大幅に回復するだろう。これなら途上国のみならず、最貧国の大部分は八百長の不平不満を募らせることなく賛成するだろう。
耕地面積も、一定の炭素交付金が受けられので、日本のような休耕地はなくなるし、当然補助金も必要なくなる。街路樹だって単に美観のためでなく炭素収支の改善のために植えられるようになるだろう。
何よりも投資マネーが「何もしない非経済的地域」に吸収されることが大きい。何のかんのと言っても、人間の投資活動は欲望がなくならない以上、止められない。止められないなら、それを逆利用して温室効果ガス削減させるしかない。また、そうしないで小手先のごまかしが通用するほど世界は甘くない。
現在、原油や鉱物資源、食糧相場を上げているマネーはより確かな利益を求めて「何もしない非経済セクター」に流れ込むので資源価格全般が急落する。この「何もしない非経済セクター」とは自然生態系の言い換えなので、自然の生物活動が経済価値を持つことと同義だ。言い換えれば自然生態系自体が炭素銀行の役割を担うことになる。人が勝手に決める偽炭素銀行と違うので、最初から公平そのものだ。これが本当のフェアトレード、これが本当の炭素本位制だ。
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