純喫茶磯辺

純喫茶磯辺公式サイト吉田恵輔監督。いい加減な父親磯辺裕次郎(宮迫博之)が開いた喫茶店といい加減なアルバイト女性素子(麻生久美子)に挟まれたしっかり者の娘の高校生咲子(仲里依紗)の1年間の成長物語。
どこにでもありそうな首都圏の都市の商店街に箍が外れたような場違いと意外性のようなアイテムが配されている。
純喫茶磯辺」。そんな名前の喫茶店あっても違和感ない。新規で作るには「ダセー」ではあるけれど。メイド姿の麻生久美子はかなり場違い。それにちょっかいを出す小沢(ダンカン)は特に意外性なし。
小説書いてそうな安田(和田聰宏)は意外性があって、しっかり者の咲子もさすがに見抜けない。けれど、待ち合わせるときの仲の純なはにかみの表情が秀逸。この人、普通の女の子の普通の演技が実にうまくてメリハリがある。
最大の意外性はあの巨大などら焼きだろう。まるで中に入った粒餡に素子の人生の悲哀がたっぷり入っているかの如しだ。それを素子は半分に分けて咲子と食べようというのだが、断られる。た、食べられるワケねえだろ。なんか、ここに箍が外れた人生を箍が外れたままれたままその場しのぎで生き続ける素子と、壊れている周囲からなんとか自分を守ろうという健気な咲子とが対照的に描かれているような気がする。
父親も、母親も、ほとんど制御不能の人生。かといって自分は周りを見下すこともできず、これからの人生をどうして切り開くのか途方に暮れるように見える咲子。シャッターの隙間からつらい現実の暗闇のような元の喫茶店内をのぞく咲子の涙にはそういったものが含まれているのだろう。
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