赤んぼ少女

akanboshojo公式サイト楳図かずお原作、山口雄大監督、水沢奈子野口五郎浅野温子斎藤工堀部圭亮生田悦子。残酷さ、えげつなさそのものよりも、人間の恐ろしさが際立つ本格派の純粋ジャパニーズ・ホラー。納涼には最適だ。
昭和35年が舞台、と言っても、原作は昭和42年だからその時点ではほぼ現代設定。古びた大きな洋館、骨董品、あやしげな研究してそうな元華族風の父親(野口五郎)、トラウマを抱え頭がおかしくなった母親(浅野温子)。その両親の家に戦時中に生き別れになって孤児院で育てられていたという、絵に描いたような美少女葉子(水沢奈子)が15年ぶりに帰る。不似合いな場に無垢な美しさが入ると、どんな化学反応が起きるのか。
同じ楳図の「へび女」もそうだったと思うけれど、楳図ホラーの原点は「家の中が何か変だ」、変哲もなさそうな日常の中に変なものがいる、が基本。それと、葉子がなぜかいつも後ろ下の方から襲われるのもスケベな楳図趣味と思われる。
タイトル通り、赤ん坊のままの少女タマミ。醜さと引き換えに超人的な戦闘力を持っていて、大人もやられてしまうスピードと怪力だ。それはまた特異さゆえに世間に見せられない何かを持った人間の怨念の塊のようでもある。
葉子とタマミは同じ15歳のはず。しかし、乳母(生田悦子)の話では両親は1人しか子供を産んでいないという。しかもタマミは10年前に死んでいるはず。かと言って、葉子が本当に実子なのかさえ実は分からない。
それに浴室で見られてしまったあの乳母の裸の姿はまるでへび女のように鱗の痕跡らしきものがある。実はタマミの本当の母親はこの乳母じゃないのかとさえ思えてくる。館を差配しているのは実はこの乳母のようにも見える。母親はただ狂っているだけで、それほど影響力はないように思える。父親は研究に引きこもって家の中で何が起きているのかさえ気づかない有様。母親も実はこの乳母に狂わされたのかとさえ想像したくなる。
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