敵こそ、我が友〜戦犯クラウス・バルビーの3つの人生〜

enemy公式サイトケヴィン・マクドナルド監督のドキュメンタリー映画。「主役」の元ナチス親衛隊のクラウス・バルビーほか、フランス・レジスタンスの指導者ジャン・ムーラン、後に大臣になって弔辞を読む作家のアンドレ・マルロー、革命家のチェ・ゲバラ錚々たる人物が登場している。
クラウス・バルビーは個性派俳優のような端正で強面な顔立ち。割と人当たりも良さそうだ。虐殺を楽しむ人間と人当たりの良さは別に矛盾しない。世渡り上手な人間は誰をおだて、誰を虐げるかの按配を知っているというか、その専門家だ。
それに比べてチェ・ゲバラはバルビーの目からすれば青臭く、単に冒険主義的で「第二次世界大戦に参戦していたら戦死して名を残せなかったろう」などと切り捨てている。両者とも政治にロマンを求め、謀略も辞さないのに、この違いは何だろうかと思う。陰気なニヒリズムと陽気なニヒリズムの違いなのだろうか。
しかし、生き延びたバルビーと、ゲバラの死体とでは美しさにおいてゲバラが圧倒している。バルビーは生きるのに汲々として結局第4帝国の片鱗すら残せなかったが、ゲバラのTシャツは今も愛用されている。
だから何なんだ、と言っても、それだけなんだろうが、世渡り上手というのは結局黒幕どまりなんだろうか。
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