与謝野馨経済財政相の利上げ公約は自民経済物価調査会提言の踏襲か

ブルームバーグ・ニュース:金利正常化で預金収入増、消費拡大へ−政権公約
 与謝野氏は、会見で福田康夫首相(党総裁)の退陣表明に伴う党総裁選挙(10日告示、22日投票)で掲げる政権公約「堂々たる政治・あたたかい改革」を発表。景気後退への対応として「金利正常化による預金収入増と消費拡大」を掲げた。

まさか当ブログの「景気対策は日銀の金利引き上げしかない」をパクったなんてことは100%ないのだけれど、それにしては、与謝野氏の公約、大衆向けすぎて却って誤解されるような。
ニュースソースが9日付といささか古いのは、日本のメディアでは伝えられていなかったらしく、当方も池田信夫blog:金融の危機管理システムのコメント欄「オマケ」並びにBI@K accelerated: hatena annex, bewaad.com:鶴光太郎先生への公開質問状で知ることとなった。この間、映画とか小旅行でチェックサボっていた祟りだ。
けれど、よく調べてみると、 6月12日付ロイター:内需拡大の見地から金利正常化に言及、輸出増加の必要性も=自民調査会提言で、
自民党経済物価調査会(会長:柳沢伯夫衆院議員)は12日、日本経済の構造変化を促し、バランスの取れた自律的成長を継続するための方策を盛り込んだ提言をまとめた。この中で早期に金利水準を正常化することや賃金引上げの必要性に言及。内需の拡大に結び付けるべきであるとの意見を盛り込んだ。
金融政策運営に関しては、長期にわたるゼロ金利政策量的緩和政策がバブル崩壊後の日本経済立て直しに役立ったと評価しながらも、「低金利がいわゆる円キャリーによって世界経済に過剰な流動性を供給することになったことには留意しなければならない」とし、「主要な民間金融機関の建て直しが実現したことが確認されれば、早期に金利水準の正常化が図られる必要がある」との基本スタンスを示した。
その上で「景気の見通しが急速に不安視される状況になったことから、金利引き上げに慎重でなければならないが、金利水準を早期に正常化するとの政策姿勢は、常に求められている」としている。

と報じられているので、今回の与謝野氏の政権公約も、この自民党経済物価調査会の提言を踏襲したもので、そんなに目新しいものではないと思う。それにしても金利正常化って遠まわしな表現何とかならないのか。どうしても直に「引き上げ」と言えない空気があるようだ。
ただ、政権公約という「大衆向け」な観点から「預金収入増と消費拡大」という表現をせざるを得なかったのだろう。
実際、今の日銀政策金利0.5%を仮に0.75%か1.0%に引き上げても、超低金利であることには変わりなく、利息の増加と言っても、スズメの涙で「預金収入増と消費拡大」なんてあり得ない。潤うのは金融資産たっぷり持っている高齢者の元々金持ち世帯だけだろう。
かといって、円高効果、実効為替レートの改善、交易損失の改善、円キャリーの巻き戻しで原油などがさらに下落、云々かんぬんで企業収益の回復、消費者物価抑制効果と言ったって、訳分からないだろうという配慮があったのだろう。選挙って難しいこと言っても受けないから困ったものだ。
それにしても、bewaad氏、公開質問状を送るほどの驚天動地だったのか。今頃何驚いているんだろう。公開質問状を送るなら自民党経済物価調査会(会長:柳沢伯夫衆院議員)宛てだろう。池田氏は「景気対策として利上げする中央銀行なんて、世界中のどこにもない」と言っておられるが、それを言うなら、超低金利が原因で景気が悪化した国も世界史上恐らく初めてだろう。いざなぎ景気を超えて戦後最長の景気拡大したのに金利が0.5%どまりというのも恐らく世界史上なかったことだろう。デフレ脱却できなかったからしょうがなかったという向きもあるかもしれないが、それは国内物価で見ただけの話で、対外的には円の価値が下落し、円の購買力ではとっくに「インフレ」だった。
史上初には、史上初の政策で望むしかない。これまで金利引き上げにまごまごしていたから、アメリカの住宅バブルを悪化させてサブプライムローン爆弾を大きくしてリーマン・ブラザーズ破綻まで行き着いたのじゃなかったのか。どっちにしても時既に遅しの感が強いが。
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